恋する動詞
□願う
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今日は、彼女の結婚式。
中学時代から10年間思いを寄せ続けた愛しい人。
でもその彼女の隣に立っているのは、−−−−紛れもない僕の相棒で。
「...」
本当に嬉しそうに笑う彼女を見ると、今でも胸がずきずきと痛む。
どうして彼女の隣にいるのはボクじゃないんだ、と。
「黒子っち」
「黄瀬くん。...どうしました?」
形の整った眉を下げて笑みを浮かべる黄瀬くん。
彼もまた、ナマエのことが好きだった。
現在進行形だとは思うけれど。
切なげに目を細めて火神くん達を見た後、へにゃりとした笑みでボクを見た。
「結婚しちゃうッスね、ナマエっち」
「はい、そうですね」
「...悔しくないんスか?」
−−−−かつての光に、ナマエを取られて。
黄瀬くんがそう言っているように感じられた。
「...ナマエは火神くんを選んだ」
「?」
「それだけのことです」
笑みを浮かべた。
けれど、弱々しい笑みだったと思う。
ナマエは火神くんを選んだ、この事実だけはどうしようもないことだ。
だからボクは、"選ばれなかった者"としてナマエと火神くんの幸せを願うだけ。
−−−−火神くんがナマエを泣かせようものなら、容赦はしないけれど。
「...ですが、こんな格好つけたことを言ってもナマエへの気持ちは無くなりません」
「...!!」
「今だって、...胸がずきずきと痛いですから」
きゅ、と胸の辺りの服をつかんだ。
彼女の持つブーケの中にある、小さな白い花。
ブライダルベールという名で、結婚式で花嫁がかぶる白いベールのような姿から名付けられたそうだ。
−−−−この花の花言葉は、
((幸せを、))
((願っています))
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