恋する動詞
□想う
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−−−−−キキィッ、ドンッ
「ぁ、う...?」
目の前の君は、赤く染まっていて。
頬の生暖かい感触が気になって触ると、手が君と同じ赤で染まって。
真っ白なワンピースも今では真っ赤に染まり、綺麗な肌も赤で染まる。
全身真っ赤なのに、君は、
「っ、りょ、...だ、じょぶ.....?」
−−−−−−−笑っていて。
「ごめ、ッ.....死なない、っで」
「っがは!」
「ナマエっ!!」
とめどなく両目から雫が溢れ出る。
頬から滴り落ちた雫は地面のアスファルトに落ち、小さなシミを作った。
「泣かな、...で」
「ナマエっ、ナマエ...ッ」
「わら、って...」
するり、僕の頬をナマエの手が撫でた。
その細い腕は地面にぱたりと倒れ、動かなくなった。
さっきまで辛そうだった笑顔も今だは安らかな笑顔になっている。
−−−−−−−瞳は、固く閉じたまま。
「ナマエ...? ナマエッ、ナマエ!!!」
何度呼びかけても返事はない。
そんな、なんで。
どうして、君が死なないといけない?
「ぃや、だ」
君の優しい顔が見れないなんて。
君の困った顔が見れないなんて。
君の泣き顔が見れないなんて。
君の怒った顔が見れないなんて。
君の、笑顔が見れないなんて。
「っ、うあぁぁぁぁぁぁあぁあっ!!!!」
君を抱きしめて、力の限り叫んだ。
悲しみを少しでも紛らわすように。
通行人が悲痛な、同情した顔で僕を見つめていても気にしない。
一層強く抱きしめて、君の唇にキスをした。
もう死んだなんて考えられないほどに暖かかった。
「ナマエの分も、生きるから」
−−−−−−−絶対に、生きて見せるから。
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