誠凛でわちゃわちゃするお話。
□第4Q
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「ただいまあー...」
結局今吉先輩は部活中ずっと体育館に居座っていた。
敵がいるのにも関わらず練習方法を見せるわけにもいかないので、今日は基礎練だけ。
ドリンクを配っている時も肩を組んできたり、なんか無駄に足触ってきたり(この人は足フェチ。リコ先輩の足でもいいじゃないかって言ったけど私の足の方がいいらしい。解せぬ)。
結論、今吉先輩が他校になるといつも以上に面倒くさい。
「おかえり」
お母さんの心地よいソプラノよりもだいぶ低い声が聞こえた。
聞き覚えのある声で、いつもよりも怒気を纏っていて威圧感のある声だ。
...あっちゃー、こりゃキレてるわ。
「どうしたの清兄、平日に来るなんて」
「母さん達が勝手に旅行に行きやがったんだよ」
「ああ、だからウチに来たの」
「おう。...で、なんでこんなに遅かったんだ? 早く言わねーと轢く」
にっこり、爽やかな笑顔で言われた。
清兄は口癖のように「轢く」、「焼く」、「刺す」...等、物騒な言葉を口にする。
その所為か後輩達からは恐れられているらしい。
え? 私?
...もう慣れたよ(遠い目)
「オイ聞いてんのか名前潰すぞ」
「ごめんなさい部活行ってました」
「...あ? 部活?」
「いえす。バスケ部」
「バスケだあ?」
「あい」
するとチッと舌打ちされた。
何故。
清兄バスケ部だし別に良くない?
「誰の許可とってバスケ部入ったんだよお前」
「リコ先輩です」
「俺の許可は?」
「いらないと思ったんでとってません!」
「...」
「ちょッ、いひゃい!」
むぎゅーっ、とほっぺをつねられた。
痛い。
「ッチ、余計な心配させんじゃねーよ」
「...? しんぴゃい?」
「なんでもねー」
ほっぺから手を離されたと思ったら優しく頭を撫でられた。
ああもう、こういうところがあるから完全に嫌いになれないんだ。
(−−−−−名前は可愛いんだから、勝手に部活に入って余計な心配させんなよ)
((なんて、言えるかよ...))
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