誠凛でわちゃわちゃするお話。

□第13Q
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「ねー清兄ー、どっちがいいかな?」

「あ? 別にどっちでもいいよ」

「えー... 清兄センスいいし決めてよー」

「......名前はなんでも似合うからどれでもいいだろーが」

「.....」



きゅん。



「もー清兄大好きいいいい!!!」

「うお、......はいはい俺も大好きだよ」



ぎゅっと抱きつくと優しく抱きしめ返して微笑んでくれるところとか、なんでも似合うとか言ってくれた従兄弟の清兄にきゅんきゅんしてる名前ですどうもー!!
もう清兄大好きすぎる。本当に大好き。愛してる。

そんな意味も込めてさらに強く抱きつくと清兄も強く抱きしめ返してくれたのでまたもやきゅん。



「で、どっち買うんだよ。」

「んー...。 清兄が言うならどっちもほしいけど予算的な問題が、」

「なら俺が買ってやる」



私の手からライトグリーンのサマーニットと、白と黒のツートンカラーで腰に小さなリボンが付いている甘めのワンピースを奪い取った。

そのまま流れるようにレジで会計をし、ブランドのロゴが入った袋を私に渡した。

そんな清兄にまたまたきゅん。


あ、因みに" 私に渡した "っていうのは駄洒落じゃないからね。



「......」

「抑えろ黒子...!!」

「アイツ何勝手に彼氏とか作ってんだよ...。つーかテツ、落ち着け」

「真っ黒いオーラただ漏れのテツくんも好き...!!」

「ぼ、僕なんかも一緒でよかったんでしょうか...?」




私達2人を尾行する人物が5人もいたこと、その5人の会話。

そしてこの買い物中に起きる非常に面倒くさいことを私は知る由もなかった。




















−−−−−−−−−−..........




















「清兄ありがと、付き合ってもらっちゃって!」

「気にすんな。つーか断っても無理矢理連れてくるんだろ?」

「ふふ、まあね!」



合宿の買い物は意外にも午前中に終わりお昼ご飯も食べ終わった。

このまま帰るのもどうかと思うので、ショッピングモールをぶらぶらすることにした。



「名前、行きたいところあるか?」

「特にないかなー。清兄は?」

「.....スポーツショップ」

「じゃあスポーツショップ行こっか。」

「いいのか?」

「もちろん。いつも清兄にはお世話になってるしね」



笑えばくしゃりと頭を撫でられた。





スポーツショップに向かう途中、化粧バッチリの大人の女性や私と同じ年くらいの女の子、明らかに私よりも年下の女の子...つまり女の子がたくさん集まっている場所があった。

そこは小さな広場のようになっているスペースで、観葉植物だったり小さな花だったりが植えてある。
ベンチがあって日当たりも良好。
因みに外だ。

キャーキャー黄色い悲鳴を上げる女の子の中心から微かに聞こえるシャッター音、日光に反射して光るさらさらした金髪。


誰だ......?



「アイツ...」

「清兄知ってる人?」

「名前知らねえのか?」

「うん」

「....そりゃそうか。アイツは黄瀬涼太、海常バスケ部のエースで今人気のモデルだよ」

「海常、って.........あ、幸くんと森山さんと小堀ん」

「...いつも思うんだけど小堀ん、ってなんだよ」

「可愛いでしょ」

「いや全く」

「えー」



ぷくーっと頬を膨らませてみる。

だが清兄の綺麗な指で突かれてぷしゅっと空気が抜けた。



「くく、マヌケ」

「マヌケじゃないし!!」



見上げて言うと清兄は突然視線を鋭くした。

そして私を引き寄せ、胸に顔を埋めさせる形にする。
背中は清兄の大きな腕でがっちり包まれていて、後頭部もしっかり抑えられている。

ぶっちゃけ苦しい。



「.....なんすかアンタ」

「ああ、すみません。モデル事務所の者なんですが、今日撮影のはずだった女性モデルが風邪を引いてしまい代役を探していたんです。
そちらのお嬢さんを代役にさせていただけないでしょうか」

「すいません、コイツ今俺とデート中なんで」

「まあまあそう言わずに!! それに街中ベストカップルの写真も探しておりまして、是非その写真も....」

「だから、コイツは無理です。他当たってください」

「相手モデルは黄瀬涼太です! どうですか、お嬢さん!?」



デ、デートとか.....!!!

あ、感動するところそこじゃないって?



.......切羽詰まった声色で言われ、断れる人がいるのか、と私は問いたい。

いや、きっといるだろうが私はこの場合絶対に断れない。


と、いうわけで。



「モデル代役の苗字名前さんです!」

「....あはは、」



やっぱりこうなるのだ。





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