番外編

□女になりました
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ミョウジナマエ、14歳でいいのかはわからないがとりあえず14歳。
その前は25歳。

俺は男だ。断じて女ではない。
胸に柔らかな膨らみはないし、アレもしっかりついている。


はず、だったのに。



「...」



朝起きるとやけに体が重かった。
怠いとかそういう感じでは無く、体重が増えたみたいな重さ。主に胸。

不思議に思って胸元を見ると来ていたシャツがぽっこり膨らんでいた。



「...は?」



服越しに触ると柔らかく暖かい。

ふにゅ、と潰して見ると女の子のおっぱいの感触にそっくりで。





...!?





「...女になった?」



まさかな、と思いながらもベッドから飛び起き急いで鏡を確認する。

そこに映っていたのは俺とよく似た髪の色、というか容姿をした女の子。
まさに俺を女にした感じの。

胸は見た感じD?



「女になってる...だと!?」



よく聞けば声も女みたいに高くなっていた。

うわあどうしよう。



とりあえず今日は休んで様子見...

あ、駄目だ今日修造と一緒に学校行く約束した。



「...ッ」



絶望のあまり頭を抱えてしゃがみこんだ。




















頭を抱えてしゃがみこんだまま数分。

そろそろ支度しないと修造が迎えに来る。


...あーもう、こうなったら。



「修造に言おう、正直に」



スウェットのポケットからケータイを取り出す。

虹村修造の文字を電話帳から出し、電話をかけた。

数回コールが鳴った後、がちゃりと音がした。



[ナマエ? どうしたんだよ]

「...修造、今から俺の家来れる?」

[は? 俺が迎えに行く時間はもうちょっと後だぞ]

「今の所、修造にしか言えないことなんだ。 ...来て?」

[!! ...ま、ナマエの頼みならしゃーねぇ。待ってろ、すぐ行く]

「...ん、待ってる」



すぐにガチャ、と電話が切れた。

すぐ行く、と行っても15分はかかるだろうから着替えでも((ピンポーン


...!?



「ナマエー、虹村だー」



...え?





ちょっと待て、電話したのはついさっき。


履歴を確認するとまだ電話して1分ほど。



...え!!!? 速っ!! 怖ッ!!!





「...っ、はーい」



あくまでも冷静なフリをして玄関の扉を開けた。

やはり修造の頭が何時もより高く見える。
縮んだ、完璧縮んだ。


修造は俺を見ると目を見開いたがすぐに元通りになり、俺に問いかけた。



「ナマエの兄妹かなんかか?
悪いけどナマエ呼んでくれ。虹村が来た、って言えばわかると思う」



ぎこちない笑みを浮かべる修造。

ぶっちゃけウケる。



「...聞いて驚けー」

「は?」

「俺がミョウジナマエなのだよっ!!」



きらん、と効果音がついたら面白いな、と思いながら修造を見上げる。

困惑したような、呆れたような表情をしていて絶対信じていないだろう。



「...おー、早くナマエ呼んでくれ」



や は り な 。



...どうやったら信じてもらえる。

抱きつくか?
いや、名前で呼ぶか。



「修造、」

「!」

「俺はナマエだ。本物の」



またもや修造を見上げる。

179センチだっけ、こいつ。いい加減首が痛い。


すると修造はしゃがみこんで俺の顔を覗き込んだ。

必然的に俺は修造を見下ろす形になる。うおお、なんか優越感...

俺が優越感を感じている間もじろじろと至近距離で見つめる修造。



「...ナマエ?」

「おう。」

「ナマエ、...なのか?」

「おう。」

「絶対、か? 命かけるか!?」

「何餓鬼みたいなことい言ってるんだ。
俺はナマエだよ、命かける」

「...」



ぽかん、と口を開く修造。

いや、あんぐり、の表現の方が合っているかもしれない。


何時もはこんなアホ面見れないから、新鮮だった。





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