Short story

□星空の下で
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「気分転換だよ。そんなに眉間にしわ寄せてやったってはかどらないだろ」
人差し指で自分の眉間を示しながら、浩平が笑う。
「う…」
結姫は言葉に詰まって、自分の額を押さえた。
それはそうなんだけど。
最近、友人達にも根詰めすぎなんじゃないかと言われることが多い。

そんなに怖い顔してるのかな。

言い返せなくて考えこんだ。
「だからさ、星見に行こうぜ」
結姫の考えを見透かしたように彼が言う。
「うん」
たまにはいいかもしれない。思うように勉強がはかどっていなかったのも事実だ。

リビングにいた母に声をかけて、外出することを告げる。こんな夜に…と怒られるかと思ったが、簡単に承諾してくれた。
「最近イライラしてたみたいだからね。たまには気分転換してきなさい。浩平君によろしくね」


自転車の後ろに結姫が乗ると、浩平が走らせ始めた。
こうやって2人で出掛けるのは久しぶりで、なんだか懐かしい。
近所の商店街、一緒に通った小学校の前を通り過ぎて、小高い丘に着く。小さかった頃に、2人でよく遊んだ場所だった。
「懐かしいだろ?」
「うん。変わってないね」
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