Short story

□星空の下で
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「いろいろ考えちゃって、何もかも嫌になっちゃった」
沈黙が降りる。呆れられたかな、と少し不安になった。
「誰だってそうだろ」
空を見上げたまま彼は言う。
返ってきた言葉は予想していたものとは違っていて、結姫は聞き返した。
「誰でも?」
浩平は頷く。
「自分の生き方なんて、やりたいことが見つかってるやつはいい。けど、決まってないやつだってたくさんいる。お前だけじゃないよ」
「うん」
「やりたいことが見つからないなら、見つかるまでいろいろやってみればいい。それにさぁ」
先ほどの結姫と同じように、彼は両手を空に伸ばす。
「こ〜んなに空が広くて、たくさんの星があるんだ。そして、星の数だけ違う人間がいる。それだけ違う考えを持つ人間がいたっておかしくないだろ?」
穏やかに笑う浩平は、普段と雰囲気が違って見える。言ってることは滅茶苦茶なのに、妙に説得力のある言葉だった。
「そうだね」
なんだか、肩の荷が降りたような気がする。あんなに悩んでいたのに、嘘みたいに心が軽くなった。
結姫はクスッと笑う。
「なんだよ?」
浩平がムッとした表情を向けた。
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