Short story

□星空の下で
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「ん? 男の子ってどんどん大人になっていくんだなぁって思って。置いてかれないようにするの、大変だよ…」
どこか寂しそうに言う結姫に、彼はニッと笑った。
「そっか? 俺はいつも、お前の背中を追いかけてるつもりなんだぜ?」
顔を見合わせて、笑いだした。
「どうりでお互い追いつかないはずよね」
「そうだな」
なんだか、悩んでいるのがバカらしくなってきた。
今は、この景色を楽しもうと思う。
手を伸ばせば届きそうなほど、こんなにも星が近い。

「そろそろ帰るか」
「うん」
走り出す自転車に揺られながら、結姫がぽつりと言った。
「浩平、ありがとね」
「頑張れよ」
「うん。頑張ってみる」

星は手を伸ばしても届かない。
けれど、夢は見つけだすこと、掴み取ることはできるはず。
やるのは他でもない自分自身なのだから。

まだ先にある自分の未来。
今と同じように、隣に浩平がいてくれたらいいのにな。
彼の背中にもたれながら、そんなことを考えた。




【END】
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