戦国短編

□貴方の心は十字の宝石 上
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どうしてだよ、旦那・・・ッ!俺を・・・置いて行かないでくれ―――





「お主に贈り物だ! 受け取ってくれるよな・・・?」

「俺に?こりゃあ嬉しいね〜♪ありがと、旦那。コレ何?」

「そ、それは自分で確認しろッ///」

「あはは〜それもそぉだね。」

包みを開けると其処には綺麗な色をした十字架が置いてあった。

「旦那。コレ、何ていうの?」

「確か・・・るびー、と言っていた。聞いたことは無いが・・・綺麗な紅だろう?」

「うん・・・。まるで、旦那の焔みたいだねー」

にこりと笑って言うと旦那は顔を真っ赤にして俯いた。俯きながらも呟いた。

「佐助・・・そ、その・・・其れをお主がなくさない限り俺は・・・側に、いるからなッ!///」

「旦那・・・・」

呆れた。でも、嬉しかった。

今まで忍という立場だったから以前仕えた将には俺は道具としてしか映っていなかった。けど旦那は俺を一人の人として見ている。

最初の頃はこの人に嫌悪感を覚えた。あまりにも純粋過ぎて。俺に無いものが沢山在り過ぎて。そして・・・とても輝いていて。

だから俺は距離を取っていた。影で生きてきた俺にはあまりにも眩しかったあの人に呑まれない様に。俺が俺で在るために。影で生きるために。何よりもあの人の為。

それでもあの人は俺に近づいてきた。毎日毎日佐助、佐助と呼んでは共に遊ぼうと共に散歩しようと誘った。俺には理解できなかった。

だからいつも顔に無理矢理貼り付けた笑顔で今日も忙しいからまた今度ねと言った。その度あの人はそうかと言い泣きそうな顔をする。だけど、影で生きてきた俺はそんな顔をされても動揺などしなかった。

あの日が来なければずっとそうだっただろう。あの、俺が任務を失敗した日が来なければ・・・。
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