BL

□何もない世界で
1ページ/2ページ


「…なぁ屑桐さん、俺って、いらない人間だと思わねぇ?」

「……は?」

予想通りの反応。

屋上で空を見ていたら何となく思ったことだ。
屑桐さんが折っていた折り紙を下に置いて、俺に寄ってきた。

「お前、熱でもあるのか」

でこに手をあてて、本気で心配している。
失礼だろ。

「ないっスよ」

俺は屑桐さんの手を振り払って、起き上がった。

「じゃあ、どうしたんだ。自分が悪くても謝らないような貴様が」

「…先輩、俺だって人間っスよ?」

いくらなんでも傷つく。
まぁそれはこの際無視して話をすすめよう。

「俺だけじゃなくて、屑桐さんも。久芒先輩も朱牡丹先輩も、みんなみんな、人間だけじゃなくて植物も動物も、もっと言ったら、地球だって宇宙だって、何もない世界でも良かったんじゃないかって」

いつかは壊れ、崩れ、なくなるのに。
何のために生まれてきたんだろうって、思うときがある。

「…それは世界と呼べるのか」

「ヘヘッ。…屑桐さんは野球と家族がいれば問題ないっスよね」

からかい気味に屑桐さんを見ると、屑桐さんは顔をしかめていた。
やべ、怒らせた…?
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ