BL

□冷たい優しさ
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頬が切れるように痛く、目を開けると目の前は真っ白だった。

何をしていたんだろう。

…そうだ。

いつもみたいにイヴェールと盗みをやってたんだ。

それで逃げる途中、俺がハンドルしくじって…。

それから…

「イヴェールッ!」

俺は全てを思いだし、寒いのも忘れて飛び上がった。

「イヴェール!?」

真っ白な雪景色の中に、うつ伏せに倒れているのに気づいた。

俺は這うようにイヴェールのもとに行った。

「イヴェ…っ」

抱き起こせば、イヴェールの肌は冷たく、目を開ける様子もなかった。

「イヴェール!?」

ふとイヴェールの下の雪を見ると、紅い色が滲んでいた。
それはイヴェールの肩から溢れているらしく、赤い血がドクドクと流れていた。

「そんな…っ!…っ、死ぬなよ!おい!イヴェール!」

頬をペシペシ叩くが、反応がない。

冷たいイヴェールに、ヒラヒラと雪の結晶が降りてくる。
その度にイヴェールが冷たくなっていくような気がした。

「何だよこれ…!降ってくるなよ!イヴェを連れて行かないで!」

イヴェールに覆い被さるように抱き締めても、俺の間をすり抜けてイヴェールを冷たく包み込んでいく。
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