BL
□似てるふたり
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「あ、ああ…すまない。お茶でも飲むか?」
慌ててイヴェールの手を放すと、メルはその場から離れたくて後ろに一歩さがろうとした。
が、イヴェールがメルの頬を挟み込んだことて、それは叶わなかった。
「イ、イヴェ…?」
メルは動揺して、じっと見つめてくるイヴェールと目を合わせられない。
「メル、俺と似てる」
「ああ、よく言われるな」
「似てる、似てる似てる」
さわさわと顔を触るイヴェールの手は、ひんやりとしていて、とても気持ちいい。
「好奇心旺盛なんだな」
「そう?…メル、顔熱いよ?」
そうか、とメルは納得する。
冷たいのが気持ちよかったのは、自分の顔が熱かったから。
「…そんなに近づくとちゅーするぞ」
「え…?なに……っ」
イヴェールがのぞきこんだところで、メルは相手の後頭部を掴んで自分のほうへ引き寄せた。
「ん…っ、んぅ…」
イヴェールはいきなりのことで何をされているのか理解しておらず、メルの舌にたどたどしく応えるので精一杯だ。
「くっ…はっ…」
余裕なメルに対して、イヴェールは泣きながらメルの肩をどんどん叩いた。
「…ちゅーするって、言っただろ?」
「…今の、ちゅーじゃないもん……。でも、気持ちよかった」
ニコッと笑うイヴェールを見て、メルは微笑んだ。
「お前、俺の子供のころにそっくりだよ」
月のように
優しく
俺だけに
微笑んで
*END*