BL
□何もない世界で
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「…なぁ屑桐さん、俺って、いらない人間だと思わねぇ?」
「……は?」
予想通りの反応。
屋上で空を見ていたら何となく思ったことだ。
屑桐さんが折っていた折り紙を下に置いて、俺に寄ってきた。
「お前、熱でもあるのか」
でこに手をあてて、本気で心配している。
失礼だろ。
「ないっスよ」
俺は屑桐さんの手を振り払って、起き上がった。
「じゃあ、どうしたんだ。自分が悪くても謝らないような貴様が」
「…先輩、俺だって人間っスよ?」
いくらなんでも傷つく。
まぁそれはこの際無視して話をすすめよう。
「俺だけじゃなくて、屑桐さんも。久芒先輩も朱牡丹先輩も、みんなみんな、人間だけじゃなくて植物も動物も、もっと言ったら、地球だって宇宙だって、何もない世界でも良かったんじゃないかって」
いつかは壊れ、崩れ、なくなるのに。
何のために生まれてきたんだろうって、思うときがある。
「…それは世界と呼べるのか」
「ヘヘッ。…屑桐さんは野球と家族がいれば問題ないっスよね」
からかい気味に屑桐さんを見ると、屑桐さんは顔をしかめていた。
やべ、怒らせた…?