BL
□冷たい優しさ
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『なぁサン。俺は冬が好きなんだ』
『だったらお前が死んだら雪の中に埋めてやるよ』
『それは…雪が溶けたら困るなぁ』
「…っくしょう!何だってこんな時にこんなこと思い出すんだよ!」
『…腕きつい』
『大好きだから。どこにも行かないように閉じ込めてるんだよ』
『…イヴェールなのにあったかいな。俺、イヴェールの腕の中、好きだ』
『サンがあったかいからだよ』
『ううん。イヴェはあったかい…』
「やだ!やだやだ!俺があったかくするから!逝くなよ、イヴェ!言うことちゃんと聞くから…!」
お願いだから
連れて行かないで
大切な人なんだ
「俺じゃあっためられないのか!?」
いや、俺じゃなくていい。
イヴェールが好きだと言った雪が
こいつを暖かく包んでくれれば
どうか冷たくならないで
フワリ、フワリと
冷たく優しくイヴェールを包む
俺は涙を拭って愛しい人を抱き締めた──
*END*