BL
□追いつけ追いこせ
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「はぁー、兄ちゃんたちが居なくなってすっげぇ静かになったよな」
寒くなりはじめた頃、部室横のベンチに座っていた。僕たち二人はいつもより早く来てしまって、暇をもて余している。
「由太がいるだけで騒がしいと思うけど……」
「ん?何?」
「…何も」
僕の言葉は小さくて由太の耳に届かなかったみたい。
そんなことより、僕には悩みがある。
「兄ちゃんもいなくなったし、これからは俺たち二人で頑張ろうな!」
…そう、この兄ちゃん、魁先輩が…。
説明するの面倒だから察してほしいけど…。
つまりは、僕が魁先輩みたいに凄いピッチャーになれるかが不安で。
「…大丈夫だと思う?」
思わず出てきた言葉が、これだった。
当然、由太は不思議そうに僕の顔をのぞきこんだ。
「何が?」