BL
□キミが望むもの
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「えっ!?今日、屑桐先輩誕生日だったんスか!?」
「ああ。俺も朱牡丹たちに言われるまで忘れていた」
屑桐は読んでいた本から顔を上げた。
「そんな…もう終わるじゃないスか…」
時計を見れば、23:33。
「すんません…。俺、何にも用意してない…」
「別に、気にしていない」
シュン、と落ち込んでいる御柳の頭を、屑桐は気にするな、と撫でてやった。
「明日でも…っ。何がいいっスか?」
「…はっ…。何でそんなに慌ててるんだ?」
オロオロする御柳を笑うと、御柳は拗ねたように屑桐を睨んだ。
「だって、大好きな人が生まれてきた日に、その人が喜ぶものをあげたいって、思うでしょ?」
「それは…」
「タオル…、靴…、それとも新しいグローブ?なぁ、アンタ、何をもらったら嬉しいんだ?」
「…俺は」
屑桐は御柳をグイと抱き寄せて、耳元に口を寄せた。
「お前が傍に居てくれるだけで嬉しい」
「……っ!」
御柳はバッと相手から離れて、耳を押さえた。
「耳まで真っ赤」
ククッ、と喉を鳴らして笑われると、御柳は更に顔を朱に染める。
「アンタは…、何でそんなこと…っ!」
次の誕生日は絶対に仕返しをしてやろうと誓う御柳だった。
*END*