サンホラ

□飛んでゆけ、どこまでも。
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父の顔を知らず
大人になれず死んでいった貴方

この世に生を受け
天に届くような泣き声が寒い朝に響き渡った

七日のうちに死んでいった可愛い私の坊や
目を閉じれば貴方が産まれた日を思い出す


子供の笑い声
フワリと上がるシャボン玉
いつかはこわれる小さな命

子供の泣き声
空を飛べずに消えてゆくシャボン玉
ほんの弱い風でかきけされる灯



風よ
どうかあの子を消さないで
吹かないでおくれ

愚かな母のたった一つの願いなのです


次逢う時は
この広い空を
高く高く


飛んでゆけ──






*END*
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