銀魂
□夏の跡
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去年より暑いのではないかと思う今年の夏。
最近では、万事屋のところのチャイナが、よく屯所にやって来る。
何をするでもなく、風通しが良い場所で眠るだけだ。
しかし、いくら風通しが良い場所だといっても、夏の日差しは強い。
山崎が扇風機を当ててやっていても、汗で髪が肌に張り付いている。
「こんなクソ暑いのに、よく眠れるな…」
俺は眠っているチャイナのそばに寄ると、その寝顔をじっと見つめた。
こんなに暑いというのに、気持ち良さそうな寝顔だ。
その肌は、夏という季節に似合わず白い。
「もぅ……食べ…ら…フフッ…」
「はぁ?」
その寝言に、俺は思わず吹き出す。
「夢の中でも食い意地張ってやがる」
そこで、ふと気づいた。
こいつは今、うつ伏せに寝ている。ということは…。
「はっ…。やっぱり…」
頭を少し浮かせると、頬には畳の跡。
「おもしれぇことになってるぜィ、チャイナ」
それでも眠り続けるチャイナ。汗で張り付いた髪を撫でてやると、気持ち良さそうに頭を擦り付けてきた。
起きたら、からかってやろうかな。
早く起きないかと思う一方で、もうしばらくこの寝顔を見ていたいと思っている自分がいた。
そんな、夏の日。
*END*