るろ剣
□緋色の風
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吐いた息が白くなるような、寒い日。
剣心と薫は夕飯の買い物をするため、二人並んで歩いていた。
「寒いわね」
薫が肩を縮こまらせてブルッと震わせると、剣心はクスッと笑った。
「薫殿は寒がりなのでござるなぁ」
「あなたは薄着じゃない?襟巻き一つで…寒くないの?」
薫が何枚も着物を着こんでいるのに対して、剣心はいつもの着物に襟巻きだけである。
「拙者、寒いのは然程苦手ではないでござるよ」
「…確かに、あまり寒くなさそうよね」
薫は暫く考えて、分かった!と納得したように、剣心の袖をつかんだ。
「剣心、髪も着物も赤いから暖かそうに見えるんだわ!」
「おろ…、そう、なのでござるか…?」
「うんっ、だって剣心の周り、何だか暖かい」
「気のせいでござるよ」
「手だってこんなに暖かい…」
剣心は薫に手を取られて、目を丸くした。
「薫殿、冷たい…」
「だから普通の人はそうなんだっ…て、ば…」
薫は剣心に手を包まれて顔を寄せられたところで今の状況を把握した。
さっきまで冷たかった手が、じわりとあたたかい。
「け、剣心…っ!?」
「ほら、あったかくなった」