サンホラ
□小さな願い
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二人で笑ったあと、ロランは寂しそうに窓の外を見た。
「…来年も、誕生日祝えるかな」
「……っ!…、当たり、前だよ…」
「お姉ちゃん、泣きそうだよ」
泣き虫だね、とロランは笑ってわたしの手を握った。
わたしは顔をあげて、ロランを見た。
「祝うんだよ、来年も、再来年も!お母さんだってもっと上手くケーキ作れてる。お父さんはロランにプレゼントを買ってくる。お歌はわたしがたくさん歌うの!」
「……お姉ちゃんは、やっぱり泣き虫だよ」
ロランは困ったように笑って、自分の頬に指をあてた。
「あ…」
同じように手をあてると、温かいものに触れた。
泣いていたらしい。
「そうだよね。来年も、お祝いできるよね。…それから、パパとママと、お姉ちゃんの誕生日には、僕が祝うの。絵を描いて、お姉ちゃんみたいにうまくないけどお歌も歌う」
「うん……ありがとう」