サンホラ

□小さな願い
3ページ/6ページ


二人で笑ったあと、ロランは寂しそうに窓の外を見た。

「…来年も、誕生日祝えるかな」

「……っ!…、当たり、前だよ…」

「お姉ちゃん、泣きそうだよ」


泣き虫だね、とロランは笑ってわたしの手を握った。
わたしは顔をあげて、ロランを見た。

「祝うんだよ、来年も、再来年も!お母さんだってもっと上手くケーキ作れてる。お父さんはロランにプレゼントを買ってくる。お歌はわたしがたくさん歌うの!」


「……お姉ちゃんは、やっぱり泣き虫だよ」

ロランは困ったように笑って、自分の頬に指をあてた。

「あ…」

同じように手をあてると、温かいものに触れた。
泣いていたらしい。

「そうだよね。来年も、お祝いできるよね。…それから、パパとママと、お姉ちゃんの誕生日には、僕が祝うの。絵を描いて、お姉ちゃんみたいにうまくないけどお歌も歌う」

「うん……ありがとう」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ