Gift

□あたたかさを知って
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おきて、はやと。

誰かに肩を揺すられて俺はゆっくりと瞼を上げた。おはようと声をかけてきたその男の姿を見るのは2週間振りで、思わず見入ってしまった、なんて本人には言わないのだけれど。



―――あたたかさを知って



「任務終わったのか」

「んー、終わらせたのな」


もっと時間かかると思っていた、と素直な感想を述べると俺頑張った!隼人に会いたくて!と返ってきた。


「俺最近寝てねぇんだけど」

「あ、俺も」

「悪いが二度寝させてもらうぜ」

「俺も一緒に寝る」

「好きにしろ」


一度起き上がったベッドに再び体を沈める。これだけは二人で選びたい!と駄々をこねた武と一緒に選んだキングサイズのベッド。俺の隣に武が寝たことで先程よりも体が深く沈み込む。


「変なことすんなよ」

「しないしない、お互い疲れてるしな」


武の声色からかなり疲労が溜まっていることが分かった。それは俺も同じで。


俺のほうに伸びてきた武の腕が俺を引き寄せた。10年経ってもあまり変わらなかった身長差のせいか、俺の体は武の胸の中にすっぽりと収まった。


「これくらいなら、良いだろ?」


返事をしなかった俺の態度を肯定と受け取ったらしい武は更に強く抱き締めてくる。あたたかい、漠然とそう感じた。

こうして武に抱き締められることは嫌いじゃない。むしろ好きなのかもしれない。あたたかいからだ。仕事を忘れてそのぬくもりに体を委ねることができる。


「寝た?」

「いや、まだ起きてる」

「眠いんじゃなかったのか?」

「眠い、」


だけどもう少しこのあたたかさを感じていたい、幸せを思い出すように。

幸せ、なんて知らなかった俺に沢山の幸せを与えてくれたあたたかさ。山本武という男の存在のあたたかさ。


「明日も仕事あるんだろ?」

「お前は」

「任務終わった次の日は必ず休み、ってツナが決めたじゃん」

「そうだったな」

「ちょっと寝ないと、隼人頭回ってないだろ」

「明日、休む」

「え、そんな簡単に休んで良いのかよ」


十代目が仰っていた言葉がぼんやりと蘇ってくる。山本が任務から帰ってきたら獄寺くんも休みなよ、ここのところ仕事ばっかりで休めてないでしょ?

十代目の心遣いに感謝しつつ俺は目を閉じた。俺が起きるまでこうしてろよ、と言ったのだが武には届いたのだろうか。了解、と返してきた武の声を聞く前に俺は眠りに落ちていた。


(このあたたかさがこんなにも心地よいなんて)
(知ったときには既に溺れてしまっていたなんて)






end
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