Gift
□みどりいろの約束
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例えばね、獄寺が嬉しかったら俺も嬉しいし、獄寺が悲しかったら俺も悲しい。
だからできれば俺が獄寺を喜ばしてあげたいなあ、って思うのも、幸せにさせたいなあ、って思うのも普通だと、思うんだけど。
そのために頑張っちゃうのだって、普通だと、思うんだけど、獄寺はどう?
+++みどりいろの約束
…最近、山本が俺と一緒に帰ってくれなくなった。
…いや、一緒に帰って欲しいとか、じゃ、なくて、あの犬みたいに俺にべったりな山本が俺に引っ付いて来なくなったなんて、なんか気持ち悪いっていうか、いや、なんか、企んでんのか、とか、そういうことで。
「ごめん獄寺!俺ちょっと用事あって先帰るな!」
「あ…ああ」
夏休み中に毎日べたべたと過ごしていたから夏休みが終わってからは学校でも過度なスキンシップを取りたがるだろうと予想していた。俺の予想は見事に外れ、山本は普段さりげなくくっついて来たりはするものの、全くと言って良い程、俺と一緒に帰らない。
(…浮気でもしてんのか…?)
だがそうだとしたら学校にいる時にくっついてくるはずがない。第一、アイツは浮気なんて器用な真似が出来るような奴じゃあない。
だから俺は、山本が放課後何の用事で先に帰るのか突き止めるべく、山本を尾行することにした。
(…家に帰る…訳でもなさそうだ…確かこの道は、)
イタリアにいた頃の経験か、尾行は上手くいっているようで、山本は全く俺に気づいていないみたいだ。念には念を入れていつもは使わない香水をつけたのも良かった。服に染み付いた煙草のニオイでばれる可能性もある。(ちなみに俺はガムを噛んでなんとかニコチンと戦っている。ちょっとイライラするけれどしょうがない、バレたら全部パーだ。)
山本は学校から直接、向かっているらしく鞄を振り回しながら下手な鼻歌を歌ってる。とても気分が良いらしい。
そういえば、部活は休んでいるのだろうか、と思った時、山本が立ち止まった。
(確か、この道は、その時に気づけば良かった)
「ツナー!!いるかー?」
「え…アイツ俺と帰んねぇで、」
十代目の、ご自宅に?
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