お題
□14.君の定位置
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俺の部屋のテレビの近く、窓際。
獄寺はいつもそこに座ってテレビを見てる。
そんで俺のクッションとか枕とか、とりあえず抱き締められるものをぎゅうっとしたり。
……残念ながらまだ俺はぎゅうってされる役が回ってきた事は無いのだけれど。
今日も俺の家に寿司を食いに来た(というか俺が誘ったんだけど)獄寺は満腹になって満足なのか、少し穏やかな表情で俺の枕をぎゅうってしてる。
今の俺の部屋はいつもより少し賑やかだったりする。
何故かというと昨日、商店街のくじ引き引いたらでっかいテディベアが当たってしまったからだ。
俺の部屋に入った時にテディベアを見つけた獄寺は大笑いしてた。野球馬鹿がテディベアって不釣り合いにも程があるだろー!って。
明後日の休みにでもツナのとこのチビ達にでもやるつもり。いきなり持っていって驚かそうかな、なんて。確かに俺にでっかいくまさんは似合わないし、いらない。
俺は商店街どこの店でも使える割引券が欲しかった。新しいバットとか、靴とか買いたかったし。
俺の枕を抱き締めながらうつらうつらし始めた獄寺。
…可愛い。
「獄寺、今日泊まるか?」
「んー、帰る…」
そう言いながらも首はがくがく上下してる。相当眠いらしい。
「じゃ、俺風呂入ってくるから、上がったら獄寺ん家まで送って行くから、さ」
「ん、じゃ山本上がるまで寝る」
そう言うと獄寺は俺の枕に顔を埋めて寝てしまった。
風呂から上がって部屋に入り、いつも獄寺が座ってる場所を見ると、
獄寺がくまに変身していた。
……訳ではなく。
獄寺があのでかいテディベアを抱き締めて寝ていた。
テディベアの脇の下から獄寺の腕が伸びていて、獄寺がテディベアを抱き締めているのは分かったけれど、どうやら獄寺はテディベアの首の後ろの方に顔を埋めているようで、ぱっと見ただけでは分からなかった。
テディベアと見つめ合う、俺。
テディベアを抱き締める、獄寺。
……あー俺今すぐテディベアになりてぇ……。
「獄寺ー?」
呼びかけても返事はない。
そんなにテディベアの抱き心地が良いのか……?
テディベアの腕を掴んで俺の方に引っ張ってみる。引っ張られたテディベアは俺の胸の中にこてん、と倒れてきた。獄寺も一緒に。
「あっ?」
獄寺が目を覚ました。状況を理解した途端、ばっ、と俺から離れていつもの場所へ。勿論テディベアも一緒に。
「か、帰る、俺、」
「テディベア、抱き心地良い?」
「なっ……」
顔を真っ赤にして首を横にぶんぶん振る獄寺、でもテディベアはぎゅうと抱き締めて離さない。
「…それ、明後日にツナにやろうかと思ってたのな」
「あ、さ、差し上げれば良いだろっ」
「でも止めたー」
獄寺、こいつ気に入ったんだろ?じゃあこのテディベアは今日から獄寺のもの。
今日持って帰ろっか?と聞いたら俺の家には置きたくない、って言われたから結局このテディベアは俺の部屋に残留。
俺の部屋のテレビの近く、窓際。
今はテディベアが占領してるその場所は。
君の定位置。
end.
***
獄にテディベアをぎゅうとさせてみたかった。
お題と合ってない気がします。笑
2008.06.15.