お題
□10.117
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117号室は陽当たりが良く、朝日が綺麗に差し込む部屋だった。
――――117
「……山本」
「なに?」
「なんでこんなに部屋小せぇの」
「んー?そんなに小さくないと思うけどなー?」
「……てめぇ一人で住め、俺はもっと良い所に住む」
待って待って!と慌てて引き止める。ぐいぐいと腕を引っ張ると獄寺は諦めたのか、どすんとソファのど真ん中に腰掛けた。二人用のソファの真ん中に座られてしまっては俺の座るスペースなど空いている筈もなく、仕方なく床に座った。
「だって獄寺二人で部屋選ぶのやだって言うから俺が一人で探さなくちゃならなかったんだぜ?」
「でも仮にもボンゴレの幹部二人がこんなちっこいアパートで暮らすか?」
「そんなん知らねーもん、獄寺が陽当たりが良い部屋って言ったからそれしか考えてなかったしな」
唇を尖らせるとお前それきもいと言われて頬をつねられた。きっと今俺の頬にはつねられた跡が赤く残っていることだろう。
はあ、と獄寺が大袈裟なため息をついた。だったら獄寺が選べば良かったじゃんよーとは言わないでおく。獄寺、きっとこの部屋気に入ってくれるはず。
荷物は一週間前に運んでもらってあって、俺は3日前からここに住んでいた。獄寺は忙しくてボンゴレ本部に住み込み状態だったから、この部屋に来るのは初めてだ。間取りなんて教えていなかったから、本当に初めて。
「…お前なぁ、もう少し自覚ってもんを……」
不意に獄寺の言葉が止んだのは、朝日が差し込んできたから。
俺はこっそり電気を消してみたり。
柔らかな朝の訪れに獄寺がくすりと笑った。
「まあ、住んでやらねー事もないけど」
117号室は陽当たりが良く、朝日が綺麗に差し込む部屋だった。
どうやら獄寺はこの部屋を気に入ってくれたみたいだ。
end
***
山獄同棲話。
夕焼けもそうですが、朝日が綺麗な部屋って、憧れますよね。
117が強引で申し訳ない……。