お題

□19.息が続く限り
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例えば恋っていうのは海に潜っているような、感じだ。


――――――息が続く限り


「獄寺のこと、もっと知りたい」

「もう知ってるじゃねーかよ?」

「うん、でも、もっともっといっぱい知りたいのな」


好きって気持ちに終わりってないんだなあ、と思う。
まるでそれは深い深い海の底を探すような。潜っても潜っても底は見えなくて、でも潜るにつれいろんなものが見えてくるような。

ぎゅう、と獄寺に抱きついて胸に顔を埋める。ほんのりと香水の香りがした。獄寺の香り。柔らかくて、俺を包み込んでくれるような。


「俺はいま、ゴクデラという海に潜ってるのな」

「…は?」


タイヘイヨウとかニホンカイみたいな感じで、ゴクデラって名前の海のなか。深く深くゴクデラのなかに潜っていく、獄寺を知っていく。


「獄寺に抱きついてるとすげー気持ち良いのな、眠く…なる」

「…寝れば、疲れてんだろ」

「んー、ねむい…」


獄寺が海ならきっと俺は魚。ゴクデラに包まれて眠るサカナなのかもしれない。

ぎゅうぎゅうと獄寺の胸板に額を押し付ける。眠い、とても、気持ちが良い。


こうやって、少しずつ獄寺のことを知っていったら、ゴクデラのなかに潜っていけたら、いつかは底までたどり着けるのだろうか。今はまだ暗闇の中に隠されている獄寺のことが、見えてくるのだろうか。


息が続く限り潜りたい。たとえ続かなくなってしまったとしても、もっと、


「獄寺のこと、知りたい」

ふかく、ふかく、きみのことを。



end



***
お題に沿えていない感は否めませんが、満足。
君に溺れるとか、そんな感じで。

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