お題
□01.山盛りキャベツ
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「……何これ」
「ん?キャベツ?」
「そーじゃなくてなんでこんなにたくさんキャベツがあんだよって聞いてんだ!!」
+++山盛りキャベツ
玄関を開けると山本(らしき人)がいた。何故(らしき人)なのかというと山本(らしき人)は積み重なった段ボールを持っていて顔が見えなかったからだ。
よっこいしょ、と段ボールを床に置くと山本(らしき人)はやっぱり山本だった。
山本がちょくちょく俺の家を訪れるようになったのはつい最近。その、山本と俺が俗にいう、恋人、とかいう仲になってから、だ。
「なんか親戚からいっぱい貰っちゃってなー、獄寺にもおすそわけ!」
「んなキャベツばっかあっても食わねぇし」
「うんうん、だから俺、責任取って毎日キャベツ料理しに来るからな、それで許して!」
にこにこ笑っている山本。でも俺は気付いた。山本の魂胆なんて全部お見通しだ。
「お前、馬鹿だな」
「え?」
やっぱ王道はロールキャベツ?なんて言いながらキャベツがぎっしり詰まった段ボールを着々と台所に移動させていた山本が動きを止めた。少し、動揺してる。こいつ馬鹿だし一々行動が分かりやすいんだよ。
「別に、キャベツなくなっても来ていいから」
「ごっ、ごくで……」
「大体、俺らって……その、あれだし」
「ごくでらあ!!」
山本がキャベツ入りの箱を落として俺に抱きついてきた。あー、キャベツ傷む。下の階にキャベツ落とした音、響いてないと良いんだけど、てか、あれ?下の階に人住んでたっけか。
そんなことを考えている間にも俺の頬はどんどん熱く赤くなっていってもう止まらねー。だってまだ付き合い始めたばっかり、なの、に。
「あ、ありがとな、獄寺、貯金無くなりかけてるけどその分の価値あったと思う」
「え、ちょっと待て、親戚どこいった」
「親戚から貰ったのはちょっとだけであとは俺が……あ、ごくでら今の嘘、冗談、」
「てめえ食い物粗末にしやがって……」
一瞬良い感じだった甘い雰囲気はどこへやら。山本が慌てて弁解しているけど無視。
「ここにあるキャベツ、一玉でも腐らせてみろ、てめえと別れるからな、本気だ」
「ええ!」
山本は眉を下げて情けない顔をしている。でもこんなにキャベツ買ってきた山本が悪い。別れるっていうのは冗談だったんだけど、教えてやらない。
「わ、分かったから、俺頑張ってキャベツ料理作るから!」
そう言うと落ちていたキャベツを拾って台所へ走って行く山本。うわひき肉ないじゃん!と叫んでいる。
「ばあか」
玄関にひとり残された俺は呟いた。しばらくは晩飯に困らないだろうと思った。
***
おばかなふたりが書きたかった。
微妙に続けようかと…。