お題

□16.イエローカード
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これ以上は駄目だ。

本能がそう言っていた。




+++イエローカード



「ね、獄寺ん家、行かせてよ」

「駄目だ」

「なんで?いいじゃん」

「駄目だ」


さっきからこのやりとりの繰り返し。山本が俺の家に来たいと言っては駄目だと切り捨てる。繰り返し。


「なんでー、俺ん家には来たことあんのになんで獄寺ん家は駄目なの」

「てめえの家にはスシ食いに行っただけだ」


多分、
アイツを俺ん家に入れたら俺が喰われる。


「とにかく駄目だ。何がなんでも駄目だ」

「えー、理由くらい教えてよ獄寺あ」


だっててめえ俺のこと喰うつもりなんだろてめえの魂胆なんて分かってンだよ馬鹿。


なんて言えるはずもなく。


付き合ってるわけでもなく、なんとなく友達以上な俺等。手を繋いだこともなければキスなんてもっての他。と、いうか。

告白とか、してねぇし。


なんとなく、一緒にいるだけの存在。多分普通のクラスメートとかとは違う、存在。
あいつの目を見ていれば俺でも分かってしまうのだ、そういう目で見られているのが嫌な訳じゃ、ないけど。だけどこの感情はあまり持っていて良いものではないことが分からない程俺は餓鬼じゃない。


「第一、俺ん家に来て何するんだよ、」


俺の中で他のヤツとちょっと違う存在のそいつは足元を見つめながらぼそり、呟いた。


「話、あるのな」


きっと、こういうところでは言えない話なのだろう、か。
と、そこまで考えて俺は山本の話、が分かってしまって。きっとそういう話、なのだろう。


「……駄目、だ」


山本が眉をハの字にしながら俺を見た。情けない顔、と思った。だけど山本をこんな顔にさせたのは俺だ、と思うと言葉にし難い愉悦のような感情が浮かんできて、


「……駄目だからな」


頭の中で黄色い信号がバチバチ光る。

ここだけは駄目なんだ、漠然とそう感じた。






***
好きーどっちもどっちもが好きー

だけど、早く恋人同士になりたい山本(フラれるなんて思ってない)と男同士は駄目だと一線を引きたがる獄寺(でも突き放せない)。
両思いなんだよ!

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