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□おちていく
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俺の両頬をはさむ熱い手は少し震えていた。
その手に触発されたのか、ずっと前から表に出さないようにしてきた感情がじわじわと俺の心臓から染みだして体全体があつくなっていく。
それともただ単にこの熱い手の温度が俺の体に伝わっていっただけかも、しれない。熱いと感じた手はどんどんぬるくなっていく、まるでその手と頬がくっついてしまったような錯覚。いや、もしかしたらそうなればいいのにという願望なのかもしれない。

思えば俺らはかなり長い時間、そうしていたのだ。もし俺が頬を触られたその時にじょうだんよせよと眉間に皺を寄せてその手を払い除ければ状況は変わっただろうに。
結局のところ時間はもどらないのだ。戻るのは記憶の中だけ。
もしもあの時、なんて考えるのがどれほど愚かなことかを俺は知っていたはずなのに俺はどうしても思い返してしまうのだ。






+++おちていく





五時間目は寝る。
昼飯も食べて満腹な時にあたたかい日差しなんかが降り注いでしまったら眠くならない奴なんかいないだろう。
これくらいの問題なら別に真面目に授業受けなくても良いから、と自分に言い訳をして机に突っ伏して寝る。


……のがいつものパターン。


「……あっつ…」


今日は日差しが強すぎる。うっかり前回の席替えで窓側の席になってしまった俺は暑すぎてなかなか寝られない。
授業を真面目に受ける気なんてなかったから俺はボンゴレの将来について考えようかと思い、机からノートを取り出した。

十代目はどうなさっているかと右を向くと、十代目はひそひそと隣のやつと話をしていた。時折柔らかな微笑も混じっている。
隣のやつ……
無駄にでかい体を十代目の方に近づけてあいつも笑っているのだろう、肩が震えていた。山本。

十代目はとても楽しそうだった。俺がどんなに話しかけてもあんな風に笑ってはくれないのに、山本とか笹川とか、クラスの連中と話しているときは優しく微笑まれるのだった。


はたと気付く。
俺は十代目から嫌われているのではないのだろうか。

ボンゴレの将来なんてそっちのけで俺はノートの行の一番上から1、2、3…と数字をふっていく。
十代目の好きなひとランキング、なんてフゥ太に聞けば一発なのだろうが聞くまでもないだろう。俺は十代目の右腕なのだから、十代目のことはなんでも知っていなくてはいけないのだ。
否、俺は事実を聞くのが怖かったのだろう、なんて。


一位から順番に十代目の好きだと思われる人の名前を書いていく。俺の名前が出てこない、俺はきっと十代目に好かれている自信がないのだ。今更すぎるが俺は一方的に十代目にお供しているだけなのだ。


だから俺はきっと、






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