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□トワイライト
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「山本…?」


獄寺が小さく俺を呼んだ。
考えごとをしていたから返事が少し遅れた。そんな俺を見ながら獄寺が呟いた。

「なんか今日の山本、山本じゃねぇみたいだ」

「へ?」


気のせいじゃ、ないと思う。獄寺の声は不安そうに聞こえた。

獄寺も、今日はちょっと変、だよな。心の中で獄寺に言ってみる。実際に獄寺に言ったわけじゃないけど獄寺はおまえ、やっぱおかしい、とまた呟いた。


日は完全に沈んでしまった。俺より少し前を行く獄寺が暗闇の中に消えてしまいそうな気がして俺は少し怖くなった。


「獄寺」


獄寺は振り返らずになんだよ、と言った。俺は獄寺の手を捕まえた。ほら、やっぱり冷たい。


「な、なにす…っ」

「俺さっきからずっと寒くってな、手、繋いだらあったかいだろー」


獄寺は俯いた。無理矢理繋いだこの手を振り払わないということは手を繋いだままでもいいということ?


「あ、用事ないなら俺ん家来ねえ?」

「は?」

「寿司食ってけよ、あ、泊まってってもいいからなー」

「なんでそうなんだよ」

「いいからいいから!タダで寿司食えるんだから!」


あったかいホットミルクも用意する!と言ったら獄寺が冷たいホットミルクがあんのかよ、と言った。確かに。

獄寺は獄寺だったし俺は俺だった。二人とも少し変だったのはきっと辺りが暗くて顔が良く見えなかったから。


俺は獄寺の手を強く握った。痛えと言われたから少し緩めたけれど決して離さないように。
獄寺がいなくならないように。


その頃はまだ曖昧で俺の中にぼやぼやと居座っていた小さな恋心に気付くまではもう少し。







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