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□苦しい?
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ねえ獄寺くん、オレ苦しいんだよ気づいてよ、
+++苦しい?
「十代目?分からないところありました?」
「ううん、大丈夫」
「あ、ごくでらおれぜんぶわかんね」
「てめーは勝手に悩んでろ、さっき教えたばっかりだろうが馬鹿」
「まあまあ二人とも」
オレは獄寺くんが好きだ。獄寺くんがオレに笑顔を向けてくれると抱き締めたくなるし綺麗だなあって思う。京子ちゃんと一緒にいる時と似てる、気持ち。
流石に獄寺くんと一緒にいるだけで真っ赤になったり口下手になったりは、しないけど。心の深いところにある気持ちは絶対、恋だ。
「なーなー獄寺、教えてくれよ問1!」
「てめえ一番最初のから出来ねえのかよ野球馬鹿!!」
まるで夫婦漫才。獄寺くんは山本のことが好きなんだ。時々切ない表情で野球している山本を見つめているのをオレは知っている。
そして多分、山本も。
オレが野球始めて、ホームランばんばん打っちゃうようなすごい選手になったとしても、きっと獄寺くんは山本がすきで、オレに向けるすきと山本に向けるすきは、きっと別物だ。
結局のところオレは“十代目”にしかなれない。どんなに野球にのめり込んだとしても“野球馬鹿”は山本以外の人にはなれない。
「十代目、もうそろそろ失礼しますね」
「…ねぇ獄寺くん、」
「はいなんでしょう十代目!」
(オレはね、君のことが好きなんだよ、苦しいんだよ、オレのことすきになってよ、)
「…この問題だけ教えてもらえるかな?」
「はい!喜んで!」
うっかり口から滑り落ちそうになった言葉は喉の途中で詰まって、代わりにでてきた言葉の情けなさにオレは泣きそうになった。
(しんぞうがね、くるしいよ)
end
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