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□恋愛なんてたいそうなものを
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※読む人が読めば獄ハルに見えます……苦手な方はご注意!
「あ、獄寺さんじゃないですか」
「あ?なんだよアホ女」
今日はツナさんとリボーンちゃんの誕生日パーティでした。……まだ終わってはいないのですけれど。
公園のベンチにひとり腰掛けた獄寺さんは少し寂しそうに見えて、らしくないなあと思ったのですがハルはあまり獄寺さんと相性が良くないみたいなので口には出しませんでした。
さすがにハルから喧嘩の原因を作りたくはないですし。
「十代目の誕生日パーティだろ、お前なんでここにいるんだ」
珍しく獄寺さんから話題提起してきたので少し驚きました、けれどハルが一番聞かれたくないことだったので獄寺さんはやっぱり意地悪だと思いました。
+++恋愛なんてたいそうなものを
「……逃げて、きちゃいました」
「は?」
「だってツナさん、京子ちゃんと一緒にいる時、とても楽しそうに笑うんですもん、なんだかいたたまれなくて」
「ふーん」
「獄寺さんこそ、どうしてここに?」
獄寺さんは眉間に皺を寄せながら、姉貴、と呟きました。でも獄寺さんの瞳の中にはそれ以外のものが渦巻いているような気がして―――ハルと同じような何かが、見えた気がしました。
でもやっぱりハルは獄寺さんに聞けません、ハルは意外と小心者なのかもしれないと思いました。
「ビアンキさんがどうかしましたか?」
「リボーンさんのパーティも一緒にしてるだろ、姉貴今日ゴーグルしてねぇし」
「そうですか、大変ですね、獄寺さんも」
別に、と獄寺さんが言いました、そういえば最初に会った時から獄寺さんは少し上の空だなあと今更思いました。さっきからツナさんの家のほうをちらちら見ているのです。
「行きたいなら行けば良いじゃないですか」
「は?」
「あ…いえ、さっきからツナさんの家のほうばかり見ているので」
その時初めて獄寺さんがハルの目を見ました。探られているみたいで少し居心地が悪い、けれど獄寺さんの瞳には隠しきれない困惑が浮かんでいたのでハルがなにか言ってはいけないような気がして、口を開けませんでした。
そんなに長い時間ではなかったはずなのに時間が果てしなく長く感じられて、その間もずっとハルの目を見ている獄寺さんからもう目を反らしても良いかと思い始めた頃、獄寺さんはやっとハルから目を離して口を開きました。
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