黒猫の目

□宣戦布告
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(入学3日目……今日こそは平和に生きたいものだ)
『騒がしい高校に来てしまったな・・・』

ため息をつきながら駅から学校までの一本道を歩いてると背後から「ナナシ」と声をかけられた。
名前を呼ばれ振り返るとそこには摩利の姿があった。

『摩利か』
「よっ、ナナシ。久しぶりだな、っと言っても昨日ぶりか」
『その節はどうもお世話になりました』
「どうだ、学校は慣れたか?」
『慣れたも何もまだ始まって3日目だが?』
「それもそうだな」

私たちは適当な挨拶をかわし、再び学校へと歩き始めた。

「そういえば、ナナシは昨日の司波達也の発言についてどう思う」
『発言?』
「魔法式が読めることについてだ」

魔法式を読むことは通常無理なことだが、絶対にありえないということはない。
理論を立てれば説明がつくが、時間を多く要することになってしまう。
ナナシとりあえず平凡な回答を出すことにした。

『普通なら無理だと思う。膨大なデーター量を意図的に読むことは難しい』
「ということは、彼は特殊ということか?」

さすが摩利だ、言葉の裏を返してきた。
達也は特殊だ。記憶力、観察力が一般人の比じゃないくらい優れている、まるで彼の脳みそは一つのデータバンクだ。

「ふむ、実に興味深いな、彼は」

摩利はにやりと新しいおもちゃを見つけたような笑みを浮かべた。

『マークしてやるなよ?かわいそうだから』
「それと委員会の仕事はまた別だ。それよりナナシ、お前風紀委員に入らないか?」
『は?』

当然のことで私はぽかんとした顔をしてしまった。
(今、なんて言った?)

「ナナシの実力なら私が卒業しても任していける」
『ちょっと待ってくれ、私は2科生だ。無理がある』
「いや、大丈夫だ。風紀委員は差別の概念はもってないし、そういうやつは推薦されてこない」
『推薦される方式なら私は選ばれないだろ。摩利がいくら入らせたくても推薦の枠に入らなきゃ意味がない』
「ナナシの実力は私が知ってる。なんなら私が真由美に掛け合おう、それが無理なら先生らに掛け合ってもいい」

摩利はどうしてもナナシを風紀委員に入れたいらしい。摩利のちょっと勝手なところは昔から変わらないみたいだ。

『実力だって昔の話だろ?今は2科生の私が1科生に勝てるわけないだろ?』
「私を負かしたことがある##NAME2## が負けるとは思わないけどな」
『とにかく私には役不足だから、諦めてくれ』
「いや、私は諦めないぞ。諦めが悪いのは知ってるだろ?」

摩利の一度決めたことを諦めない性格はどうやら変わってないようだ。
(これから大変なことになるな…)
それだけを確信すると、どうやら学校についてしまったようだ。
私たちはそれぞれお互いの教室に向かった。
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