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□とある夜にて
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俺はなぜこうなったのだろう
身動きをとることも出来ず想い人のベッドで悶々と頭を悩ませた
遡ること半日前
俺の想い人でもあり大学の後輩である涼太君が引越しをすると聞き、下心よろしくいい人装い好感度アップを目論んで引越し準備に追われる後輩の家に手伝いに行った
で、恋愛抜きにしても気の合う俺等はろくに準備も進まず話は盛り上がり結果的に俺は終電を逃してしまった
優しい涼太君から泊まっていきますか、と誘われ内心ガッツポーズを決めながらじゃあお言葉に甘えようかな、何て余裕ぶって答えた
その後、俺が料理したりお風呂上りの涼太君に内心悶えたりと平和な時間が流れ、そして問題は起こった
あ、予備の布団もうくくっちゃった
じゃあ、俺がソファで寝るよ
いえいえ、客人にそんな事出来ません。俺がソファで寝ます
何言ってんの。涼太君にそんな事させれるわけないでしょ。
いえいえ、俺が
いいや、俺が
じゃあ、一緒に寝ます?
じゃあ、一緒に寝ます?
うわあぁぁぁぁぁぁぁあ
そんな美味しい話俺が逃すはずも無く二つ返事で答え、結果的に今こうして涼太君と背中合わせの状態で一つのシングルベッドに身を沈めている
好きな人の部屋で好きな人と一緒に寝るなんてぐっすりと熟睡できる人はいるのだろうか
少なくとも俺には無理だった
だからと言って、ここで手を出して軽蔑されるなんて耐えられないヘタレな俺は泣く泣くこの甘い拷問を朝まで耐え忍ぶしかないのだ
嗚呼、でもこの部屋や布団から、借りたスウェットからも涼太君の匂いがして正気を保てそうにない
というか涼太君は子供体温なのかな
背中から伝わる平均より高めな体温は冷え性の俺にとって大変心地よい
大の大人二人が身を寄せ合いシングルベッドで寝るのは流石に無理があり否応無しに体は密着し相手の存在を意識してしまう
こんな所で勃たせたら間違いなく俺は変態だ
それだけは避けたい
俺が一人悶々としていると背後にいた涼太君がくるりと寝返りを打ち俺の背中に顔を埋めた
ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあ
叫ばなかった俺を褒めてやりたい
(内心では叫んだけど)
背中に涼太君の吐息がかかる度に変な気を起こしそうになる
さっきまでバクバクと早鐘を打っていた俺の心臓は更に加速し、余りのオーバーワークに死んでしまいそうだ
え、何これ誘ってるの
馬鹿。そんな訳ないだろ
いやいや、でもこれヤバイって俺の心臓持たないって
てかさ、この侭何もしないのって勿体無くない?
バカになった頭にそんな言葉が浮かんだ
くるりと寝返りを打った俺は寝ぼけたふりをして自分より若干小柄な涼太君を抱き締める
首筋に顔を埋め匂いを吸い込むとビクリと涼太君が震えた気がした
少し位ならいいよね、と愛しいこの子の寝顔を拝もうと顔を覗きこむと俺の期待していた可愛い寝顔はそこには無く、頬を真っ赤に染め眼を潤ませ妖美な表情を浮かべる涼太君がいた
ゾクリッ
腰が重く疼いた
「あ、ぁ…」
口をパクパクと開閉し何かを喋ろうとする涼太君に
起きてたんだ、とかこれはヤバくないか、とか思うところはいっぱいあっていい筈なのに
誘う様に蠢く唇から目が離せられない俺は何も考えられなくなって、まるでそこだけ重力が働いているかの様に引き寄せられた
「ンん?!!」
熱い口内に舌を差し込み逃げ惑う舌を絡み取れば涼太君は逃げる様に腰を引いた
逃がすものかと腰を引き寄せると自分の足に硬いものが当たった
それが、涼太君のものだと認識した瞬間俺の体はカーッ、と熱を持ったように熱くなり涼太君を抱えた侭仰向けに転がり俺の上に涼太君がのるようにした
「ヒ、やぁぁッ!」
立てた膝でスウェット越しに涼太君のを刺激してやれば涼太君はビクビクと腰を震わして俺の胸に倒れこんだ
「ねえ、何でこんなになってるの?」
期待しちゃうよ?
ビクビクと赤く色付いた耳に吐息混じりの欲情しきった掠れた声で囁けば涼太君は余計に体を震わせ小さく切ない声を上げた
その反応に気を良くした俺はグチュグチュと膝で涼太君のものを刺激していく
「あッあッ!やめてぇぇ……!!」
「なんで?凄くよさそうだよ?」
「あッ…だめなの………ひィッ!」
どさくさに紛れて涼太君のお尻を鷲掴みツンツンと中心の蕾を指で突けば涼太君は目を見開いて背を弓なりに逸した
「男なのにお尻が気持ちいいんだ」
「っひィ…!ちがうっ、…ちが……!」
「違うの?」
「やぁァァァァァッ!!!」
より一層足で強く扱きグプグプと深く指を出し入れすると涼太君は更にものを大きくさせ顔を歪めた
「あ゛あッ!だめ、らめぇぇえ!…はいっちゃう、ぱんつ、はいっちゃうッ………」
「っ、可愛い……」
「あぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
いやいやと子供の様に頭を振り乱す涼太君が可愛くて足の動きを早くすると甘い声を響かせながら腰を引き攣らせ涼太君はスウェットの中に吐き出した
やってしまった
ハアハアと息も絶え絶えな涼太君の頭を撫でながら俺は今まで感じた事がない程の自責の念に囚われた
呆然としていると俺の胸に顔を埋める涼太君は小さくしゃくりをあげ等々泣き始めてしまった
「り、涼太君?!」
「ひッく、おれ、おれぇッ…」
兎に角涼太君を落ち着かせようと上体を起こし目の前に座らせると涼太君の下半身から先ほど出したものがグチャッと音を立て、ボロボロの涼太君の顔が現れ俺の良心をジクジクと刺していく
「涼太君、おれ…」
「ごめんなさいっ!」
「…………は?」
口にしようとした謝罪の言葉は俺が吐き出す前に何故か涼太君から吐き出された
「あッ、おれがぁ…ひっく、ぁう」
「無理に話さなくていいよ。ちゃんと待つから」
幼い子供の様にしゃくりをあげて泣く姿が可愛い、じゃなかった可哀想で小さく縮こまった体を抱き締めあやす様に頭を撫でた
「ふ、ぅ…おれ、おれ、ひぅ…男なのに、んく、冬馬さん好きで…気持ち悪いからぁ……」
瞳からポロポロと綺麗な雫をこぼす涼太君の顔を凝視する
この子、今なんて言った?
俺は自分の耳を疑った
ここは相手が泣き止むまで待ってから自分の失態を詫び、その後自分の想いを告げるのが正解だろうし、普段からこの子に対し紳士的な行動を心掛けてきた自分にとって正しい優先事項だ
しかし、嬉しさから何も考えられない俺はそんなもの全部無視して愛しいこの子を抱きしめた
「涼太君、涼太君。俺も大好きだよ」
ちゅ、と耳にキスするとビクリと体を震わせるこの子が何よりも愛おしい
「ねえ、これから二人で幸せになろっか」
俺の世界で一番愛おしい子は真っ赤な顔で頷いた