世界樹と冒険モノ。
□学院生活へ
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「……うーん、よくわかんないけど、本気出してない?」
「……うん。」
「マジか……ま、この状態だと…一応アタシの勝ちでいいよね?」
こくりと頷くルイス。
本気じゃない…だと……。その事を知ってまたざわつく。
「……どのみち、ここでは無理だから…」
彼はどこか諦めた表情をしながら呟く声が聞こえた。
◆
「うーん……久々に刀を使ったからなぁ…やっぱり鈍ってるな…」
「わかる。しかも分身も使えないしな……」
授業を終え、クオンさんとカノンさんが壁にもたれ掛かりながらそんな会話をしていた。因みに周りにはオレ達しかいない。…ジャーナリスト学科の人もいない様だ。
「やっぱりいつもの戦闘スタイルがいいですよね〜」
「落ち着かないからな……」
ハルニアの言葉に頷き、うんざりしたようにカノンさんが溜め息を吐いた。
「そんなクオンさ……クオン達に朗報。クエスト出てるぞー」
「クエスト!?」
ふらっと現れた影波がそう言うと、ハルニアが目を輝かせながらそちらを見た。
「それってどこで受注するの?職員室?」
「いや、図書室だ。フリージア…眼鏡を掛けたエルフがいるからそいつから受注出来るぞー。」
「了解ッ!」
バッとハルニアは駆け出して行く。……図書室とは反対側の方向に。
「え、ちょ…図書室はそっちじゃないよ!?」
「……何やってんだよ…ハルニア……」
今度はながーい溜め息を吐き、カノンさんはこめかみに手を当てていた。
――図書室
「失礼しまーっす!!」
騒がしい声が静かな図書室に響いた。
「………」
僕は読んでいた本を閉じる。そちらに目をやると、案の定ハルニアの姿があった。…そして、フリージアに注意されていた。
「うー…ごめんなさ…あ!月詠君!」
僕に気づいたらしく、フリージアが困るような大声をあげながら手を振ってきた。軽く手を振り返すと、フリージアが頭を抱える。
「ですから、図書室で大声は出さないで下さい!」
再び注意され、ハルニアが首を竦める。
「おーいハルニア…って、やっぱりやらかしてたか。」
図書室入り口から影波が顔を覗かせ、後ろの方にいるのであろうクオンさん達を呼ぶ。
間もなくクオンさん達が合流し、フリージアからクエストのプリントを受け取っていたのが見えた。
と、同時に明鬼の気配を感じた。
「よっ。あいつらクエスト受けたみたいだぜー」
「見ればわかる。」
ニシシと笑う声。それが少し腹立つ。
というか、この間の時もコイツのせいで……!
…考えたらキリがない。やめよう。
「月詠ぉ。着いていかないのか〜?」
「……今日はやめとく。というか、このあとモーディアルでセティアの手合わせがある。」
「あー…スティアの妹の嬢ちゃんか。じゃ、さっさと行こうぜー?」
「…お前に言われるまでもない。」
イライラする気持ちを抑えながら、手にしていた本を戻し、図書室を後にした。
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