世界樹と冒険モノ。
□天使と…
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(や……やっちゃったああああああああああ!!)
思わずスティア兄ちゃんが何かをやらかした時みたいな反応をしてしまう。頭を抱え、兄ちゃんなら声を出してしまうところをなんとか心の中で留めた。
いや、でも本当、やっちゃったよ…やらかしたよ私!
まさか、勢い余ってワープゾーンを踏んでしまうなんて……
一応、このフロアのマップは頭に入っている。入っているとはいえ…二人と合流するのは難しいかもしれない。それに、自分が下手に動いたら…余計に合流し辛くなる可能性だってある。
あとは…私がワープした先だ。多分、どこの通路とも繋がっていない、浮き島のような部分に飛んだと思われる。…もしあの二人がワープゾーンを避けて探すという方法をとった場合、見つけてもらえない可能性が高い。
でも、動かないまま待機というのも何だか微妙な気もするし……
悶々とどうしよう、と考えていると、背中に衝撃が走った。
「きゃぁ!?」
「っ…!」
そのままドサリ、と床に転がった。…さっきの衝撃と音的にも私ともう一人、という感じがするけど…。
振り返ると、私の横に同じ様に倒れている人がいた。
「あ、大丈夫ですか?」
「…問題ない。…というか、ぶつかったのはこっちなのに…君こそ大丈夫…?」
起き上がりながら、淡い紫の髪を持った、紫と緑のオッドアイの少年がそう言う。が、私と目が合うとすぐに目を丸くした。
相手…少年とは同い年か少し年上くらいのように見える。それにしても……
(制服じゃない…冒険者かな。それに…翼が一つだけ…?しかも、青い…)
目の前にいる少年に生えて…否、義手ならぬ義翼のような青い翼が目に入った。
パッと見、少年はヒューマンに見える。けど、義翼(?)がある…ということは、月詠さんやツキノのようなヒューマンとセレスティアのハーフかもしれない。
それで、もしかしたら翼があったのかもしれないけど失ってしまったのだろうか…。片翼だけというのも、生まれつきなのかもしれない。
相手も何か考えていたのだろう。私も々と考えていたのもあってか、暫く沈黙が流れていた。
そしてハッとして相手を改めて見る。
「あ、あの」
「あのさ」
「「………」」
お互い同時に言い、言葉が被る。そしてまた沈黙。
「あの…先、どうぞ。」
「え…いや、そんなの悪いよ…」
私が譲れば少年は戸惑う。しかも、かなり困った表情を浮かべている。
が、改めて周りを見てから、少年は顔を強張らせた。
「……どこ、ここ……」
「封開せし地下遺跡、だよ」
「封開……?」
きょろきょろと周囲を見渡し、何もなかったのだろう、少年は肩を落とした。
「いない……」
「あ、もしかしてアナタも仲間とはぐれたとか…?」
「みたいだ。って、アナタ"も"…?」
キョトンとしながら聞いてくる少年。あちゃー…流してはくれなかったか←
「うん、実は私も仲間とはぐれちゃっていて……」
そう答えれば、少年はまた目を丸くした。
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