世界樹と冒険モノ。
□天使と…
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少年の言う仲間について、もう少し詳しく、と聞こうとした時、何かの気配を感じた。
これは明らかに人ではない。…魔物だ!
私は剣を構え、少年を横目で見れば既に鎌を構えていた。
「何かいるな」
「うん。でも多分…」
「多分?」
私の言葉に少年は首を傾げる。が、すぐにバサバサという羽音が聞こえてきた。
音の主が見えたのだろう、少年は少しだけ目を見開く。
「竜…?」
「あれはブーグーンです!何でかわからないけど、大量発生しているみたいで…!」
そう言っている間に、ブーグーンは私と少年の間に突撃し一気に凪ぎ払うように尾を振り回す。
少年は後ろに跳躍してかわし、私は両手剣を使って防御の構えを取る。次の瞬間には衝撃が伝わるが、バランスを大きく崩す程ではない。
「ちゃんとした竜を見るのは…始めてかも。」
「え…ええ!?」
少年の意外な台詞に驚きながらも、私は剣を構え、鬼神斬りの準備をする。
「さて…一時的な関係とはいえ、仲間を傷付けたんだ。“守る為の慈悲なき刃”の二つ名は―――伊達じゃない。」
たんっと軽く跳躍したかと思うと、少年は鎌を振るって魔物を両断する。
呆気ない魔物の最期。消滅し始めるソレを見下す目は――とても冷たかった。
まるで、死神の様。そんな風に一瞬感じてしまう。
「天使さん、大丈夫?」
「え、あ…はい。大丈夫です。これくらいはなんてことないんで!」
「そう…? あ…そういえば、お互い名前を聞いてないね…」
「あ…確かに……」
なんで今まで名前を聞こうとしなかったんだろう、私達←
お互い苦笑しながらも自己紹介を始める。
「私はセティア。ナイト、ヒロイン学科なの。よろしく」
「僕はセージ。クラスはリーパー、二つ名は“守る為の慈悲なき刃”。改めてよろしくね、セティア。」
「うん!」
私が握手の為に手を差し出すと、セージは目を丸くした。
あれ、私何かよくないことした…?
そう思っていると、おずおずとセージは手を握ってきた。もしかして、何かあるのかも、と思ったけど何もない。少し冷たい籠手の堅い感触がするだけだ。
それと…リーパーという職業は聞いたことないなぁ…直訳した意味は、確か「刈り取る者」になるはず。
堕天使っぽい見た目に鎌。やはり堕天使学科と似ている。あるいはそこから発展させたものかもしれない。