世界樹と冒険モノ。
□天使と…
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「それにしても…原因不明の大量発生か…穏やかじゃないね」
「ですよね…。まぁ、きっと繁殖期とかだったとか…?」
「…ふむ、確かにそれも考えられなくはないな。でも、その魔物の繁殖時期と、今は合うの?」
「あー…どうでしょう…?」
セージに指摘され、悩む。ずっと繁殖期とかじゃないのかな、と思っていたから…。今はその時期とちゃんと合うのかな…?
「多分、今この場にいなくて話だけを聞いたのなら、僕もセティアと同じことを考えるだろね。でも…――」
鎌を構え、セージはキッと向こうを睨みつける。
と、同時に殺気を感じた。それも、今までと比べ物にならないような…。
そう思っている間にも、こちらに向かってくる羽音は止まらない。しかも…音からして何だか大きいような……。
「この殺気を感じてしまえば、その考えはすぐに否定できる、かな。」
「な、に……アレ」
「君も見たことが無い、のか……参ったな。」
目の前に現れたソレを見て、思わず数歩後ずさってしまう。 そんな私の反応を見て、セージは眉を顰めた。
『グルルルルル……』
見た目は、ブーグーンをそのまま大きくしたような竜。でも、今まで散々戦ってきたブーグーンとは明らかに違う。
…翼が合計で四枚あり、身体の至る所から闇の結晶が生えている…――そんな魔物だった。
「大丈夫?セティア。」
「っ…ええ。」
「一応大丈夫そうだね。…改めて確認するけど、あのような魔物は見たことが無いんだね?」
「そう、ですね…。見たことないです。」
剣を構え、いつでも戦えるようにしながら答える。セージを見ると、(さっきも何となく見えていたが)蒼く光るマントの様な物を纏っていた。でもそれは実体がないのか、髪や背中の翼が貫通している。
「となると突然変異か、文字通り“稀少個体”ってところか……」
「多分、そうかと…」
「まぁ、こうやって対峙してしまった以上、撤退はお勧め出来ないな。…それに、他の冒険者を巻き込みかねない。もし、コイツによって怪我人はまだいい。…死者まで出たら…最悪だ。違う?」
「っはい! そんなの、絶対ダメです…!」
ハッキリそう答えるとセージは満足そうに微笑む。
「その意気やよし、だね。でも、今は二人しかいない。…無理は禁物だ、もし危うくなったら逃げるよ。」
「わかりました。」
「よし。じゃあ、行くぞ」
セージの合図と同時に私達は竜に向かって走り出した。
間近で見れば見る程、威圧感が凄い。また怯みそうになったけど、心の中で自分を叱咤し、なんとか持ちこたえる。
「繊弱の瘴気」
そこにセージが鎌を振るい、瘴気を発生させる。瘴気は竜の力を蝕んだのか、その巨体をよろめかせた。
「いっけぇ!鬼神斬り!」
よろめいた所に、連続で斬り込む。予想通りと言うべきか、結晶の所は刃がなかなか通らない。その代わり、鱗の所はそんなに固くなく、普通に刃が通った。