世界樹と冒険モノ。

□花は舞い信念を矢に
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 ◇

 ――ツキノの部屋

「はいどーも。今日も集まってくれてありがとねー…って、思いの外少ないわね」

 ルカの言う通り、ツキノの部屋に集まったのはスティアとツキノ、トキワさんとアタシ、そして明鬼という随分と変わったメンバーだ。

「みんな個人のクエスト受けてたみたいだから…あとは学科別に実習や課題を出されていたとか…」

 ツキノがルカにそう言うと「まぁ学生だし仕方ないよねー」とクスクスと笑う。…そういえばルカは授業とか大丈夫なんだろうか。毎回こうして調査に協力してくれるのはいいけど、彼女の成績とかに支障が出たりしてしまったら……

「ああ、そこは大丈夫よハルニア。確かに授業はサボりまくりだけど補習はしっかり受けてるから!」

「それ本当に大丈夫!?っていうか心読まないでよ!」

「ハルニア、ルカはいつもあんな感じだから気にしない方がいいよ…」

 なん…だと……? アタシが驚いていると苦笑しながらスティアが頷く。…マジか、気にしたら負けなのか……。

「で、なんで俺もなのさー」

「アラ?鬼神様は興味ないのかしら?もしかしたら強い魔物とかいるかもしれ「よっし乗った!!」ウフフ♪」

 やる気がなかったらしい明鬼がルカにうまく乗せられ、本格的に参戦してくれるみたいだ。…隣のツキノが微妙な表情をしていたけれど…。
 まぁアレだよね。色々気にしたら負けなんだと思う。どう考えてもルカの口車に乗せられてる感があるような気もしなくないとか!←

「それで、今回はどこだというの?」

「そうね…。今回は若干わかりにくい場所にあったけど、なんとか特定は出来たわ。…多少、噂は広まっているみたいだけれど。」

 そう言ってルカはこの世界の地図を出し、ある場所を指差す。

「ヨモツヒラサカの外れに、謎の鳥居が現れたらしく、そこから件の迷宮があるらしいわ。」

「鳥居…!」

 まさかとは思うが。その鳥居はアタシらがこちらの世界に飛ばされた原因の物では…?と思ったけど、ルカがこちらを見て首を横に振った。…どうやら違うらしい。
 うーん、こちらの世界に来てしまったという謎を解くためのヒントかと思ったのにー…

「で、一応下調べ程度にアタシが入ってみたけど…こうして戻って来られる分、アナタ達がこちらに来た物とは多分違うと思う。それと……凄く綺麗な場所だったわ。」

「綺麗な場所?」

「おいおい、黄泉平坂(ヨモツヒラサカ)だけに鳥居の向こうは黄泉だったとか言わねぇよな?」

 冗談交じり、と言うように明鬼が笑いながら聞く。が、ルカは

「そうね…あんなに綺麗な桜の迷宮だからもしかしたら黄泉だったりするかも」

 とクスクスと笑いながら返した。

 それを聞いてアタシ達はビシッ…と固まる。

 え?マジで黄泉?あの世フラグ??そんなまだ死にたくないのですがそれは!というかルカはなんで戻って来れてるの!?いやもしかして実は幽霊とか!!?

「…一応大天使の血を引くとはいえ、もし行ったら…オレどうなるの?オレがオレでなくなるような気が…」

「天の子とか言われてるけど私もどうなることか…!」

「はははっ……とうとうお迎え来ちゃうかー…そうか…アイツらと再会しちゃうのかー…」

「あの世…あの世かぁ…アタシの人生短かったなー」

「……なーんて。嘘よ嘘!冥界とかの陰の気はなかったから問題ないわ。ただ、いつも通り気を付けた方がいいわね」

 固まって、ネガティブに考え出したアタシ達を見かねたのか、苦笑しつつも見つかったダンジョン=あの世説を否定するルカ。…よかった、あの世じゃないのか……。他のメンバーもホッと息を吐くのが聞こえる。

「はぁ…でもまぁ、気を付けるのは当然だろうね。それと、事前に聞きたいんだけど、ルカの言ってる“桜が綺麗な迷宮”ってそっちの世界にあったダンジョンなの?」

 息を吐きながらスティアがこちらに聞いてくる。アタシは一度トキワさんと顔を見合わせる。

「そうだね…記憶に新しいのはアスラーガにも第10迷宮 武陵桃源ってのがあったけど、アタシとトキワさん的にはやっぱり…」

「ああ。…ハイ・ラガードの世界樹の迷宮にあった桜ノ立橋が一番印象深いな。…まぁあれほぼ世界樹の天辺みたいな所だからな」

「その分絶景だったよねー。桜の花弁が舞っていて青空も夜空も…本当綺麗だった。まぁ例によってFOEと魔物は色々面倒だったけど」


 
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