Cross×Road〜クロス×ロード〜

□それは唐突に
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 私は綾音。ごく普通の高校二年生だ。

 ごく普通、と言っても…まあ、ゲームとかもやるし。少しオタクかも知れないけど。

 あと、英語があまり出来ない。何となく程度しか分からない。うん…辛うじて。




 でも私は今、自分の英語の出来なさに激しく後悔していた。


 何故なら。


 私は学校からの帰り、普通に自宅に帰ろうとして、曲がり角を曲がった。





 そしたら、なんということでしょう。






 見知らぬ町に来てしまった!?

 しかも周りを見れば、看板がある。だがその看板の文字が……見事に英語なのだ…!

 更には、通行人の会話に耳を済ませば、明らかに英語である。

 ヤバい、これは真面目にヤバい。


 と言うか、私はただ普通に自宅に帰ろうとしただけなのに、どうしてこんな所にいるんだ!?

 勿論、道だって間違えていない。

 なのに、曲がり角を曲がった先には見知らぬ町なのさ!?


(とっ…取り合えず、落ち着こう…私……)

 そう考えながら、私は深呼吸する。
 その瞬間、私の頭上をバサバサバサッ!と音を立てながら通過していった。

「―――…え?」

 私は自分の目を疑った。

 …さっき、私の頭上を通過していったのは…確かに鳥だ。でも……それはただの鳥なんかじゃなくて…―――


「あれ、マメパトだよね?」


 ポケットモンスターブラック、ホワイトの舞台である、イッシュ地方でよく見る飛行タイプのポケモン。

 でも、それはゲームの中の話であって……

 まさか。


「………」


 私は夢でも見ているのだろうか。
 そう思いながら頬を抓ると、痛かった。

 痛い。ならば夢じゃない。

「……え?」


 …アレか?異世界に来ちゃいました的な?


 そうやって、呆然と立ち竦んでいると、私の様子が変なことに気づいたのか、金髪の女性がこちらに向かって来るのが見えた。

 当然、英語でだ。


「あ……や、ヤバいッ!!」

 多少ならわかる。わかるけども自信がない!

 そんなわけで、私はその場から逃げ出した。


 前を見ずに、ね。


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