世界樹と冒険モノ。
□冒険者達は
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「…世界樹?」
「ああ。私らがいた場所は世界樹があった」
「色んな土地に存在しては、“世界樹の迷宮”っていう樹海…つまりダンジョンがあったりー」
またもや聞いたことがない単語が…
「うーん…聞いたことねぇな…」
「ですね…」
影波とディアナが話しているのが聞こえた。クオンさん達にも聞こえたのか、表情が曇る。
「…世界樹……」
ぽつりとルイスが呟く。そして視線が彼に集中する。
「世界樹…こっちには……ないの?」
ちょこんと首を傾げ、相変わらず表情は特に変わらないがそう聞いてきた。
でも…世界樹か……
「素材の中にはあったわね…世界樹の枝とか…」
「本とかに書いてあった気がするけども…実際に見たことないな。」
「そうなのか……」
お互い考え込む。まさかとは思うけど…思い付いたことは言わずに別の問いを投げ掛けてみる。
「あの…クオンさん達の言う、世界樹がある場所か或いは近くにある街の名前は…?」
「街の名前かい?そうだな…アーモロードとか…」
「タルシス…」
「エトリアとかハイ・ラガードとか? あとは…」
「「「「アスラーガ」」」」
アスラーガ、という街の名前だけは四人揃って答えた。さっきもアスラーガって言ってたし…クオンさん達はそこで活動していたのかも?
とはいえ…挙げられた街の名前はどれも聞いたことがない。
「……やっぱり聞いたことないのか…」
「そうですね…」
「………」
オレが頷けばカノンさんが目を閉じ、深く溜め息を吐いた。
「カノン、いい加減教えてくれてもいいんじゃないのかな?」
「…何のことだ?」
そう言ってクオンさんを見る。彼は静かにカノンさんを見詰め返す。それを見て折れたのか、彼女は肩を竦めた。
「わかったよ……話す。」
カノンさんはオレ達を一通り見回すと一度頷いてから口を開いた。
「ここは…私らが知ってる世界じゃない。」
ハッキリと彼女はそう言った。
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