世界樹と冒険モノ。
□冒険者達は
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「カノンさん…それって…」
明らかに動揺したハルニアがカノンさんに近づきながら言う。
…というか…こちらとしても…「やっぱり」と思ってしまった。
何故、そう思ったのか…
理由はワリと単純で、天機ある山道で出会った時…レイザーオックスとの戦闘の様子を見てそう思った。
ルイスが使った魔法?のようなモノに、カノンさんやハルニアが使った技…スキルが見たことがない。それと…彼らとの会話に出てきた知らない単語。
セリン達の様な、少し違う程度で他は同じ、というのとは違う。明らかに『違う』、『異なる』んだ。
まあ…あくまでもオレはそう思っただけであって…。カノンさんはどう思ったんだろうか。なんて考えていると、彼女は一度頷いてから答えた。
「お互いの話が妙に噛み合わないのもそうだが……一番そうだと言えるのは、スティア達のような"種族"が存在する、ということだろう」
「え…いや、でも…一概には言えないんじゃ…」
「クオンの言う通り、確かにそうだ。それに、ルイスが嘗て冒険した地ではいたそうだが…それらとは全く違うらしい。
だがな…もしそれだけスティア達のような方の"種族"がいたとするなら、“世界樹の迷宮”のような樹海がある街の方にも来るんじゃないのか?ましては…アスラーガの様に、少し有名でもあるような場所でも挑戦しに来るんじゃないか?」
もしいるならば、既にオレ達のような"種族"の人達にはとっくに出会っていてもおかしくないだろう?とカノンさんは付け足した。
確かに…言えている…。
「それくらいだな。私はそう思ったが…」
「お、おー…確かに言えてる!」
「あとは…月か。」
「月?」
なんだろう…まだ何かあるのかな?
そう思って首を傾げていると、カノンさんはハルニアを見た。
「な、何ですか?」
「なんでもいい。ハルニア、お前が好きな月を言ってみろ。」
「月…あー、そっちか! それなら…金羊ノ月です!理由は響きが何となくいいなーって思ったから!」
「何となくだからって金羊ノ月!?」
「…ボクならば戌神ノ月と鬼乎ノ1日」
「何故に年末……」
え…ど、どういうことだ!? 月ってつまり一ヶ月とか何月ってヤツなんだろうね…。でもカノンさん達が言っている単語は聞いたことがなかった。
というか…そんな呼び方があるのか?
「…私らの所は一月は28日、一年は13ヶ月だ。それに月のない一日を入れて、一年365日というわけだ。」
「な、なんだか複雑な感じですね…。」
「そちらはどうなんだ?」
「一月は30日だったり31日だったりもして…一年12ヶ月で365日。閏年もあったりして366日になることもある。」
月詠がさらりと言うと「そうか…」とカノンさんは顎に手を当て、考え込む。
…ここまで違うのなら…もう認めるしかないな。
「やはり…僕達は異世界に来てしまった…のか?」
「そうとしか…考えられませんね…」
クオンさんの言葉にディアナがそう返すと、カノンさんから溜め息が漏れた。
「…認めるしかないな。とはいえ、私達はどうやってこちらに来てしまったのか…それが問題だ。」
「確かにそうですね。となると…それまでの経緯は?」
「僕達はアスラーガの街から気球艇で不思議のダンジョンのある迷宮、大鳥居ノ森に向かった。
そこの迷宮を普通に探索していたら…急に風景が変わったんだ。」
「元々ある階から風景が変わるから…でも、明らかに大鳥居ノ森の風景じゃなかったの。つまり…」
「その時点で天機ある山道にいたってことか……」
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