世界樹と冒険モノ。

□小さな異変
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 ――赤焔ノ洞窟

 赤い紅葉が地面を埋め尽くす。まるで、冒険者が血を流し、その地を赤く染めたような迷宮。

 アスラーガに来て、不思議のダンジョンという迷宮には驚いたけど、それ以上にショックな出来事が起きた。

 クオンさん達が行方不明になったという。

 彼らが最後、何処の迷宮に行ったのかは情報が混乱した為に知ることが出来なかった。

「おい、エル。少しは落ち着いたらどうだよ」

「落ち着くために迷宮に来たんだよ、アタシは。というか、別に着いてこなくてよかったのに。」

 色素の薄い緑の長髪の夜賊の少年を見ながらアタシは言う。いや、彼だけじゃない。
 同じように着いてきた、金髪ポニーテールの空色頭巾の剣士の少女、黒髪を赤いリボンでポニーテールにした弓使いの少女にもだ。

「いやぁ…だって、一人で行くのは心配だから…ねぇ?」

「そ、そうですよ!エルディアさん!」

 エルディア―――それがアタシの名前だ。
 元はアーモロードでファランクスをしていたけど、タルシスの世界樹にも行き、そちらではフォートレスになり、今も続けている。

 そして着いてきた彼らは、タルシスで知り合ったギルドの冒険者達。
 行方不明になった彼らもまた同じだ。

「…わかってる。わかってるよ、シズク…」

 黒髪の少女、シズクに向かってそう言うが、やはり腑に落ちない。

「…アンタは急ぎすぎる癖があるってフレイから聞いていたが…本当、こうなると面倒なんだな。」

「ストレートに言うねぇ…オルフィ」

 苦笑しながら夜賊の少年、オルフィに言い返す。彼もまた苦笑し返した。

「でも、エル……本当に」

 階段を降りながら金髪の少女、リントが何かを言いかけた時だ。



 景色が、一変した。



 先程まで嫌な程赤を見てきたのに、それがなかった。

 その代わり、あったのは緑と渓谷だった。


 周囲を見渡しても、階段は見当たらず、ただ自然の迷宮が広がっていただけだった。


「一体どうなって……」

 珍しくリントの困惑する声がする。














 ああ、どうして愚かなミスをしたんでしょうね。

 余程アタシは気が立っていたんですかね?








 アナタがいない、ただその事実に。




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