世界樹と冒険モノ。
□一寸の会話
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学生寮、クオンの割り当て部屋
リント達もこちらに来てしまってから数日が経った。
一度は彼女達も学院に編入した方が良いのではないかと思ったが、こうも一気に転入生が、しかも皆スティア達の知り合いというと…さすがに怪しまれそうだ。
その為、今は僕の部屋とカノンやハルニアの部屋に彼らをひっそりと隠していた。
部屋から出られない、というせいでストレスが溜まりそうだが…どうも仕方ながなかった。
「まさに軟禁状態じゃないか……」
「うぅ…ごめんよ、オルフィ」
溜め息を吐きながら背筋を伸ばすオルフィに謝る。…本人達には了承は得てもらっているとはいえ、さすがにこれは…とは思う。
「……夜な夜な部屋から出てカノンさんと手合わせして貰っているだけまだマシじゃないの?」
「そうだけどさ…やっぱり、手合わせの度に冒険者の血が騒ぐというか…余計に……」
ルイスの言葉にこめかみを押さえるオルフィ。…隠密行動に優れているナイトシーカーの彼には特別にカノンの手合わせを夜にしてもらっているらしい。シズクもまたそこそこ隠密行動が出来るため、彼女も参加していたらしいが…聞けば目が追い付かないくらいの素早さで戦っているらしい。
それもその筈、カノンはシノビでオルフィはナイトシーカー。どちらも素早さは圧倒的に高い。名前からもわかるように隠密性も高い職業だ。アーモロードとタルシスの地域の差とはいえ、どちらも似たようなものだ。(さすがにスキルは違うけれど)
そんな彼らが戦ったら……凄いのだろう。実際に見てみたい気もするが、隠密性に欠ける僕が見に行くのは難しいかもしれない。
「ううん……やっぱり、スティア達に頼むべきだったかな…」
今、スティア達はいない。彼らはモーディアル学園の方に行っており、二日間帰って来ないという話を受けた。…特殊なダブルスクール、という訳で…事情は複雑らしい。
「プリシアナに入学、じゃなくてモーディアルの方に?」
「…ああ。その方がいいんじゃないのかなって…」
「…土地、かなり離れてるよ?」
「そこが問題なんだよなぁ……」
かといって、ずっとこのままとはいかないし……
本格的に悩み始めた時、扉がノックされた。
「…クオンさん」
「…え、あ、どうぞ」
ルイスに言われて僕はやっと気づいたけど…←
「全員いるな。」
入ってきたのはカノンだった。…どうしたのだろう。
「お前ら、こっちに部屋移動しろ」
「え…、でも」
「男女に分かれてたら情報共有がちゃんと出来ないだろ?」
「…そうだね」
そう言われて僕達はカノンの部屋へと移動した。…幸い、誰にもすれ違わずにね。
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