世界樹と冒険モノ。

□武士と狩人
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 ◇

 ―――数時間後…


「よいせっ」

「ちょ、おま!?」

 窓の縁に足を掛け、そして飛び降りる。後ろでオルフィの驚いたような声がしたが気にしない。

 なんとか軟着陸し、周りに誰もいないことを確認する。なんとなく見上げてみれば、オルフィがこちらを見て睨んでいた。…があえて無視。

 いやぁ…だってなぁ……

(いくら一気に転入なんてことすれば怪しまれるからって部屋に軟禁状態と同じようなことされちゃ、息が詰まるし。)

 かといって、本来は誰もいないハズの部屋に俺らが籠りっぱなしなのも怪しまれそうだが。

 …ともかくアレだ。引き籠りは良くない。以上!←


 そう考えた俺、風ノ守 常磐は部屋から抜け出した。なのでオルフィから睨まれてる。←


 それに、異世界の学校というのも気になる。しかも、冒険者養成学校だろう?余計興味深い。

 普段身に付けている装備は解いている為、体が軽い。まあ…武器の弓も置いてきてしまったが、なんとかなるだろう。一応印術も使えるし。

(…あー、髪結んでねぇ…)

 …いや、今回は無い方がいいか?一応ここの学生に見付からないように探索するつもりでいる。だとすると…あの赤いリボンで結ぶのは目立つか。…昔、兄貴経由でナツハからいくつか貰った物で、大事な物であるのは確かだが。
 …古傷を隠すために巻いている包帯がもう少し余っていれば、代わりに結べたかもな。

(まあいいや。特に気にならないし)

 そう思いながら学生寮の建物から離れて行った。…背中に突き刺さるような視線を感じながら。

 ◇


(そういや、スティアというヤツが帰ってきたらしいな)

 クオンやカノンから聞いたが、まだ会ったことはない。…一体どんなヤツなんだろう。

 以前、少しだけアルカディアに行ったことがある。あちらには四つの種族があったが…こちらの世界はその数を越える種族がいるらしい。…事実、この学院の校長である男性は翼の生えた…セレスティアとかいう種族だし。
 そういやあの共闘の時、セリンは黒い翼のセレスティアだったな。…翼の色は一体何を意味するんだろうか。
 耳の長い、痩身の少年…スティクスだったか。てっきりルナリア族かと思ったが違った。こちらではエルフという種族らしい。…具体的にどう違うのかは俺にもさっぱりだが。

(…アイツなら説明出来るのかもな)

 一瞬、俺と同じ髪色、瞳の色を持つ女性を思い出す。

 以前はとても腹立たしい存在だったが、今はどうしているのだろう。彼らとまだ、冒険者を続けているのだろうか?

(…ま、今は関係ないし、どうでもいいや)


 その考えを振り払うように首を振る。そうこうしていると、校舎の近くに出た。

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