世界樹と冒険モノ。

□天使と…
1ページ/8ページ

(この話の時間軸は『武士と狩人』と同じです)


 ――数時間前・モーディアル学園


 モーディアルでの課題を私とスティア兄ちゃん達でこなし、プリシアナの補習や例の一件もあって、今日はそちらに帰る日だ。
 けど、離れたくないというようにスティア兄ちゃんに抱き付かれてます←

「うう…セティア…」

「もー…スティア兄ちゃんってばー…別に一生の別れじゃないんだよ?それに、学校の単位も例の一件も大事でしょ?」

「…はい」

 しょぼんと肩と翼まで落とし、ようやく私から離れた。…うん、慣れているとはいえ、未菜達も「またか〜…」という顔で呆れてるし…ちょっと恥ずかしいです、はい。

「まったくもー…しゃっきりしなさいよ!」

 バシッと未菜が兄ちゃんの背中を叩いて喝を入れた。少しよろけたけど、なんとか踏みとどまったみたいだ。
 影波とディアナもうんうんと頷き、影波だけが兄ちゃんの肩に手を置いた。

「そうだぜ。それに、月命達も先に帰って待ってるハズだし。…会いたくないのか?」

「はっ!?ちょ、おま…影波ぁ!? …そ、そりゃツキノに会いたいに…決まってんだろ…」

 ツキノの名前が出たとたん、顔を真っ赤にしてそう言うスティア兄ちゃん。…かくいう私も、彼女の双子の兄の月詠さんを思い出してしまい、少し顔が熱くなった…気がする。

「でしたら、早く行きましょう?セティアさんだって、モーディアルでの課題があるかもしれませんし…」

「…はーい。じゃあね、セティア。…頑張れよ!」

「うん!スティア兄ちゃん達も頑張ってね!」

 お互い笑顔で別れ、ディアナがスポットを唱えて、姿が消えた。

「…さて、私も頑張らないとね!」

 一応、モーディアルにはレイアもいるし、私とレイアだけでも少しは協力したいとは思っている。
 直接関わることは出来なくてもいい。少しでも力になれば…と思って、出来る限り遠出するクエストとかを受けるようにしていた。
 その先で何か発見があるかもしれない。少しでも希望を持ちながら今日もクエストを探そうとしていた。

 図書室に向かおうとしていた時、誰かが名前を呼ぶ声が聞こえた。
 
「おーい、セティアー!」

「…あれ、クレーエ?」

 振り返ると、クレーエがこちらに向かってやって来るところだった。…どうしたんだろう。

「いたいた! いきなりで悪いが、クエストに付き合ってくれないか?」

「クエスト!? うんうん!大丈夫よ!ちなみに内容は?」

「ああ、依頼人がルドベキア先生で、タカチホ義塾のイワナガ先生に渡してきて欲しいものがあるんだってさ。それを届けるついでに、封開せし地下遺跡で、大量発生しているブーグーン をある程度討伐してこいだって。結構な内容だろ?」

「うん。なかなかハードだね…。となると、ここから一気に義塾までのスポットや飛竜召喚札での移動方法はなしってことかな。」

「だろうなぁ…。それと、生憎シスルとイヅナが授業で出れないんだ。」

 そう困ったように言うクレーエ。…確かに、いつものメンバーがいないという気持ちはよくわかる。…心細くて、寂しい。そんな感情が。

「で、他に来れそうな人を探してたんだ。一応、カルテが来れるらしいけど…」

「その様子だと、クシナやタンポポもダメだったみたいだね…」

「ああ…。ついでに言えば、レイアもな…」

「あー……今日、補習が入っているって言ってたなぁ…」

 …となると、クレーエ、カルテ、私の三人パーティということになるのか…。今のレベルも考えると、無理ではないとは思うけど…無茶はダメだよね。うん。

「三人だけってことね…」

「そうなっちゃうんだよなぁ…」

「…まぁ、無茶しなきゃ大丈夫だよ、きっと!」

「…そうだよな!」

 お互いを励ますように言い、準備をしたらすぐに出発ということになった。
 …よし、今回はかなり念入りに準備しないとね!

 そう意気込みながら私は自室に向かった。

 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ