世界樹と冒険モノ。

□花は舞い信念を矢に
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 ――学生寮・ハルニアの部屋


 コツコツ、と窓から音が聞こえた。
 何だろうと思ってそちらを見ると、何もいなかった。…いや、これは違うか。

 窓に近づき、開ける。それはもう全開に。直後、緑と赤の影が入ってきた。

「…あー、やっぱりアナタですか」

「おうよ。俺だぜ」

 呆れたように溜め息を吐きながら窓から入ってきた人…トキワさんを見る。また勝手に抜け出して何処かへ行っていたのだろう。装備は解かれてなかった。

「もー…何の用?今だけど、アタシだって学生やってるんで、課題とかあるから邪魔しないでくださいよー。エルさんの所に行ってくださいよー」

「勿論エルの所には行くぞ?ってか、ハルニアに渡す物があって俺は来たんだけどな」

「…アタシに?」

 首を傾げながら返すと、トキワさんは袋を投げてきた。慌てて受け止めると、袋越しから固い何かが入ってるというのが何となくわかった。
 そのまま開けてみれば……中に入っていたのは宝石。しかも、ただの宝石じゃなくて、これは……
 思わずバッと顔を上げてトキワさんを見た。

「これ…」

「見ての通りさ。…コレを最も使い慣れているのは俺とお前だけだろう? まあ…エトリアやハイラガで使っていたソレとはちょっと違う感じになってるけどな。でも性質とかはほぼ同じだから、多分問題はないだろ」

 作るの苦労したんだぜー、とぐにーっと背筋を伸ばしながら言う。

「はぁ…そうなの。じゃ、ありがとうございます」

「んー…感謝の気持ちが籠っていないのは察した。ま、それを使うかどうかはハルニア次第だな。」

「そりゃそうだけど…でも、何で急に?」

「何となくさ。それにお前、サブクラスが云々言ってただろ?」

 痛いところをトキワさんに指摘され、視線を落とし、下唇を噛む。

「まぁ…確かに気にしてたけど」

「だから、それに近くなる為の手段さ。…エトリアで俺と同じように弓と使い、ハイラガでは兄さ…兄貴と同じように術式を使った。だろ?」

「あとは臨機応変して、他のクラスのスキルも使ってたね。」

「そうそう。…お前、アスラーガでは仕方なかったとはいえ、こっちの世界に来てからはそう言う事してないよな」

「……言われてみれば。」

「ま、ソレを使うかはお前の自由さ。」

 じゃあな、と言ってトキワさんはまた窓から出ていく。
 アタシの手元には、“アレ”が入った袋。それが妙に重く感じた。


 

 ――…ああ、でも。少しくらいなら。


 色々と思いつく。さて、何から行動しようかな。

 
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