神速に矢と刃は踊る

□第二話 始業式とハプニング
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「およ?どーした?お揃いでー」

 頭を抱えていると、今度は淡い緑の髪の少女が俺の顔を覗き込んできた。
 と言うか近い近い!くっつきそうだ!!

 その少女はお構い無しと言わんばかりに近づき、お互いの鼻がくっつきそうになる。そのせいで心臓がバクバクと脈打つ。変な汗までかきそうだ。

 そんな俺の様子を見て、彼女は一度悪戯っぽい笑みを浮かべ、パッと離れて俺を指差す。

「なになに?緊張したの?」

「う、うるせぇ!元はと言えばお前がやってきたんだろ、羽音(ハノン)!!」

 羽音はニヤニヤと笑っていたが、とうとう吹き出し、腹を抱えて笑い転げた。

「あっはっはっは!純情だねぇ、トウヤは!」

 くっ…言われっぱなしとか嫌なんだが言い返せねえ…!
 マジで悔しいんだけど!!

「うるさい。というかもうやめなさい、羽音」

「あうっ」

 内心そう悔しがっていると、鈴音が羽音の頭を軽くチョップして止めた。

「……はぁ…」

 何かもう…始業式すら始まってないのに疲れた…そんな気がする。


 ◆
 
 あの後、七海先輩は凪兎の肩を借りながら保健室に行き、俺達は高等部の校舎の昇降口に向かう。


 そこにはクラス分けの紙が貼られていたせいか、人だかりが出来ていた。
 その中に、制服のブレザーの下にパーカーを着ている見慣れた親友の姿もあった。

「おーい、湊!」

「あ、トウヤ!おはよう!」

「トウヤ遅いよーっ!」

 声を掛ければ笑いながら挨拶を返してくる湊。その隣には高等部の制服を着た凛花もいた。

「あ、そっか。お前も高等部入りか!」

「そうだよーっと!これなら同じ校舎にいるから、いつでも突撃出来るね!」

「突撃すんな!」

 俺が突っ込めば凛花はニシシと笑う。それを湊はどこか困ったように、それでいて面白そうに微笑んでいた。

「っと…そうだ、俺のクラスはっと…」

 クラス分けの紙が貼られた所を見、自分の名前を探す。

[2年3組 風雅燈夜]

「3組か…去年も3組だったな、俺…」

「ボクも3組だよ。…というか、殆ど持ち上がり状態だね」

「あー…本当だ。」

 湊の言う通り、改めて見てみると一年の時で一緒だったクラスメイトの名前をいくつも見つけられた。
 …つまり、羽音や鈴音も同じ、という訳だ。

 大丈夫だろうか、これから一年間…

「あはは…ま、今年もよろしくね、トウヤ」

 色々憂鬱になりかけた所を湊が俺の肩を叩いた事により、我に返った。
 見ると、湊はまた微笑んでいた。
 それに釣られる様に俺も笑う。

「……ああ!よろしくな!」


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