ゆめ

□こっち向いて
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影山くん。

影山くん。

どうかこっちを向いてくれませんか。






















授業中の密かな楽しみ。
それは影山くんの背中をこっそり見つめること。
中学生の頃から好きだった。
バレーが上手くて、でも上手すぎて不器用で、みんなとうまくいかなかった時もずっと気づかれないように見つめてた。
烏野を受けると風の噂で聞いて追いかけてきたのはみんなに内緒だ。
影山くんの名前を見るたびに、聞くたびに、姿が視界に入るたびに胸がざわめく。
例え授業中に眠気と闘って白目を剥いていたって好き。
むしろ影山くんカッコいい!と言っていた女子がその姿を見て引いているのを見て安心だ。

影山くん。
影山くん。
好き。
好きです。
気付いてなんて思ったりしながら今日もこっそり見つめる。
影山くんはきっと、私のことなんて知らないだろうな。
放課後、嬉々とした様子で体育館に向かう準備をする影山くんが可愛い。

と、見つめているとはたと目が合ってしまった。

「…?…何?」

「えっ…!あ、いや、何でも…」

ああ、影山くんと話してしまった!
頭が真っ白で妙な返しをしてしまった。
影山くんも怪訝そうに教室を出る。
いけない、このままではいけない。
影山くんに変なやつだと思われてしまう上に、折角のチャンスが…!
慌てて影山くんの後を追う。


「あ…か、影山、くん!」

「な、何?」

あ、影山くん、戸惑ってる。
可愛い。
好きだな。

「バレー、今日も頑張ってね!」

一瞬目を見開き驚いた顔をした後、満面の笑顔でこっちを向いた影山くん。

「おう!じゃあな、##NAME1
##」









大丈夫かな。
私、いま顔だらけてないかな。
 

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