短編 2

□《Chimeric Heaven》
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「あー………今日も名無しさん先生すげぇ可愛かったなぁー」



1限を遅刻したナインは、放課後の教室で課題をやらされていた。
ちゃんと言いつけを守るあたり、案外根はいい子だ。



「………はぁ」



らしくねぇなー溜息なんて。
俺は思ったことを真っ直ぐに貫き通すのが、真の俺だよなぁ。
でも名無しさん先生結婚してんだぜ?既婚者だぜ人妻だぜ。
………人妻か、なかなかいいな。
いやダメだろ。
それは名無しさん先生を汚れ者にしてしまう。
けど萌える。



「名無しさん先生、家でどんな格好してんのかなぁ」



ふわふわした部屋着か?
てろてろした部屋着か?
つやつやした部屋着か?
………萌える。
よ、夜とか、どんな感じなんだろーな。
可愛いんだろうなー。
名無しさん先生、普段あんまし露出しないけど、脱いだらすげかったりしてな。
そんで、ほっぺ赤くして、汗が滲んで、そんで潤んだ瞳で俺のこと見上げんだよ……
あ、ヤベェ。下半身ヤベェ。
トイレ行って抜いて来ようかな。



「あー………妄想止まんねぇ。課題進まねぇ」



コンコンコン

ノックの後、少し控えめに教室のドアが開かれる。



「ナイン?課題はどう?終わりそう?」



えええええええええ!!!!??
名無しさん先生じゃあああん!!
どうすんだ俺!聞かれてたかなヤベェかな!妄想じゃなくて言ってたら全部ヤベェ!
つーか来てくれたのマジで嬉しい。



「あ!いや、まだまだ終わんねーです」

「どれどれ?うーん、世界史か。これなら調べればすぐ終わるよ。手伝うから、一緒にやろう」



すぐ横から課題を覗きこむ名無しさんが近い近い。
ふんわりといい香りが鼻をかすめ、ナインは真横にいる名無しさんを凝視する。



「い、いいのかよコラァ…。帰ってやる事たくさんあったりとか無かったりとかすんだろ?」

「ふふっ、なにそれ?
クラサメさんのお仕事まだ終わらないから待ってるの。ナインも早く帰りたいでしょ?」


帰りてぇっちゃそら帰りてぇけどよ。
名無しさん先生とふたりっきりってこの状況美味しすぎねぇか?
……しかも俺のナイン君、すげぇ元気だし。
それ関係ねぇか。


参考書をめくりながら問題の答えを探す名無しさんを横目に、ナインは良からぬ妄想に浸る。
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