いつかかえるところ
□06《キミに近づきたいから》
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クラサメが自分の感情に気付いてからというものの
リヒトをゆめに近づけさせないのだ。
あの後、きちんとリヒトから意味不明な喧嘩の事実は聞いた。
クラサメがいつまでものたのた呑気にしているもんだから、お節介ながら手を加えさせてもらった。
とのことだった。
ゆめがリヒトに恋愛感情がないのは本人から確認済みではいるが、それでも心配ならなかった。
また余計な事をされては困るし、何よりゆめが他の男と楽しそうにしているのを見るのが辛いからだ。
俺もたいがい、嫉妬深いな…。
かっこわる。
彼氏でも無いのに、出過ぎた真似だと分かっている。
ゆめは、どう思うだろう…。こんな独占欲の強い男は嫌いだろうか…。
彼女への気持ちに気付いてからは、毎日こんな感じだ。
ゆめ同様、クラサメも初恋である。
初めての事に戸惑ってばかりだ。
戦乱の世の中だということは重々承知だが、彼もまた17歳という若さのひとりの少年にすぎない。
だが、身の程はわきまえている。
朱雀四天王という立場も全うし、
作戦や任務も鍛錬も怠ることなくこなしている。
クラサメにとって彼女は、そのつかの間の癒しなのだ。
今日も彼女に会いたいと、魔導院内をうろついているが、なにせだだっ広い施設なだけになかなか見つからなかった。